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2013年10月12日 (土)

エル・システマ・フェスティバル 2013       エル・システマ・ユース・オーケストラ・オブ・カラカス 圧巻の「レニングラード」

デュダメルとシモン・ボリバル・ユースオケの衝劇的来日公演
から5年。今回は、いわばその弟妹分のオケである、
エル・システマ・オーケストラ・オブ・カラカスの来日公演。

エル・システマとは、貧困と犯罪の多発が続いてきた
ベネズエラで、音楽教育により犯罪や非行をなくし、
心豊かな青少年育成を目的とした教育システム。

無料で楽器を貸与し、習わせ、オーケストラに参加させていく
という独特のもの。
そこから、シモン・ボリバル・ユースオーケストラという信じ難い
ほどハイレベルの若いオケが生まれ、個人としても、
グスターボ・デュダメルという天才指揮者が誕生した。

今やその理念は世界の各地で賛同され広がりつつある。
イギリス、アメリカ、オーストラリア、韓国など25カ国以上で
展開され初めており、日本でも福島県相馬市で
その理念に基づくオーケストラ・プロジェクトが発信し、
長野県松本市でもエル・システマ信州の会が発足した。

今回来日したオブ・カラカスは、14歳から24歳までの
総勢180人からなるもの。
パート別に書くと、
第1ヴァイオリン=29名、第2ヴァイオリン=28名、
ヴィオラ=20名、チェロ=22名、コントラバス=15名、
フルート=7名、オーボエ=6名、クラリネット=8名、
ファゴット=6名、ホルン=13名、トランペット=14名、
トロンボーン=12名、チューバ=3名、
パーカッション=12名、ハープ=2名、ピアノ=1名


この組織の演奏会は、日本でも既に独特の雰囲気が生まれている。
聴衆の何割かは、たぶん母国ベネズエラや南米の人だし、
団員のステージ入場の際にも、大きな拍手が続く。
欧米のメジャーオケのように。

ステージに揃っても、人数の多さもあって、
指揮者が登場する前にコンマスが全体を確認していたり、
指揮者が登場してからもそういうこともあり、
なかなか演奏が始まらないことも、いかにも南米、
ラテンぽくて面白い。

女性の衣装はエンジ色の胸元Vカットで色っぱくてステキ。
もちろん美女も多いので、ステージ自体が「ラテン」で華やか
である。

さて、この日の曲は

1.ヴェルディ 歌劇「運命の力」序曲

2.モーツァルト 木管楽器のための協奏交響曲

 (休憩)

3.ショスタコービッチ 交響曲第7番 ハ長調「レニングラード」


1曲目から、トロンボーン6人等、先述のとおりのフル編成の
メンバーが、ところ狭しと東京芸術劇場の大ホールを埋める。
中間部のトロンボーンによる印象的なト長調のコラールに入る前、
そこに向かって弦があわただしく動き出して音量を増していく
ところで、高音域群と低音域群の楽器~弦だけでなく
金管も~が明らかに割と大きくズレたので、オッと思ったが、
無事修正された。
この部分だけ、高音楽器群と低音楽器群でテンポ感が
揃わなかったのだ。

あの部分は確かに難しい。私はこの曲を3回演奏しているので、
よく解る。
やはり、これだけの団員による合奏だから、
タテ線を揃えるのは大変だ。
後述するが、ヨコ線は信じ難いほどピピタリと揃って
合奏できるオケなのだが。

1曲目の大編成が終わって、小編成の2曲目に移るわけなので、
当然、ステージ換えが大変で、10分近くかかったと思う。

2曲目のモーツァルトは問題、課題を残した。
4人のソリストは団員で、ファゴットはとても可愛らしい人。
他は男性。
ソロは特に問題なく、立派に吹いたが、オケが問題。
アンサンブルとしては巧いのだが、ヌメっとした感じの、
それぞれのフレ-ジングが明確に浮かび上がってこない演奏
なのだ。
モーツァルトという感じが全くしない。
モーツァルトのフレージングができてない、
ノッペラボウみたいな演奏だった。

先日、山田和樹さんが朝日カルチャー講座で言っていた
 「退屈なモーツァルト演奏」の典型のような演奏だった。
やはり、モーツァルトは難しい。


休憩後の「レニングラード」は本当に圧巻だった。

第2楽章の終わりの第1ヴァイオリンパート演奏や、
第3楽章でのチェロのパート演奏、同ヴィオラのパート演奏などは
まるで1人で弾いているようにピタリと揃っている。
ヨコ線が揃っているということは、
団員全員が同等のレベルということだ。
座っている場所に関係なく、前から後まで同じレベルで弾き、
しかもフレーズングタイミング、すなわち演奏の呼吸がピタリと
一致しているから、まったく乱れない、1つの線として奏される。
それだけでも驚異的なレベルだ。

大編成の長所が 如何なく発揮されたのは
第3楽章の冒頭および終わり近くでのヴァイオリン群による
朗々たる旋律の部分だ。とても輝かしくてパワフルだった。
第3楽章では1番と2番によるフルートのデュオもとても良かった。

アンコールは、期待した「マンボ」ではなく、
ヒナステラ作曲 バレエ組曲「エスタンシア」より終曲の踊り。
これも良い曲だった。
演奏が進むにつれ、体を左右に揺らしながら弾く、吹く、
最後は立ち上がって、というのはいつものパターン。

終わって、団員がソデにひきあげるとき、全員がハッピを
客席に投げた。
私は2階席だったので、受け取ることができず残念だった。

 教育の勝利
エル・システマは、ベネズエラの勝利だけでなく、
人間の可能性、教育の可能性、その壮大な結果としての
人類の偉大な勝利だ。

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