« 東日本大震災から2年半~復興に待ったなし  藤原紀香さんのコメントも紹介します | トップページ | 池辺晋一郎さん 「第九」 世界初演 »

2013年9月14日 (土)

ワルキューレ 神奈川県民ホール 最高水準の演奏 福井 敬さん 斉木健詞さん 青山 貴さん    大村博美さん 横山恵子さん 小山由美さん

神奈川県民ホール、びわ湖ホール、二期会による
共同制作公演 「ワルキューレ」。

ダブルキャストのうち、14日の公演を心行くまで堪能した。
神奈川県民ホール。

福井敬さん(ジークムント)、青山貴さん(ヴォータン)、
斉木健詞さん(フンディンク)、大村博美さん(ジークリンデ)、
横山恵子さん(ブリュンヒルデ)、小山由美さん(フリッカ)
すべて文句なしの名唱。

江口順子さんや杣友惠子さんらのワルキューレ達も
迫力満点。最高水準のワーグナー演奏だった。

主な出演者と感想は以下のとおり

指揮 沼尻竜典

管弦楽 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
     &日本センチュリー交響楽団合オーケストラ

演出 ジョエル・ローウェルス

           9月14日      15日

ジークムント    福井 敬       望月哲也

フンディング    斉木健詞      山下浩司

ヴォータン     青山 貴       グリア・グリムズレイ

ジークリンデ   大村博美      橋爪ゆか

ブリュンヒルデ  横山恵子      エヴァ・ヨハンソン

フリッカ       小山由美      加納悦子


  ワルキューレたち

ゲルヒンデ     田崎尚美      岩川亮子

オルトリンデ    江口順子      増田のり子

ワルトラウテ    井坂 惠       磯地美樹

シュヴェルトレイテ 金子美香     三輪陽子

ヘルムヴィーゲ  平井香織      日比野 幸

ジークルーネ   増田弥生      森 季子

グリムゲルデ   杣友惠子      小林久美子

ロスワイセ    平舘直子      渡辺玲美


  感想

福井 敬さん
変わらぬ圧倒的な声量、アクの強い見事なディクション。
この「演じるテナーの声」に対抗できるほどの歌手は、
少なくとも日本にはいないだろう。見事だった。


斉木健詞さん
深く潤いのある魅惑的な声、ユーモラスさえある
心憎い演技。声といい、豊な表情から伝わってくる
 「大きな」キャラクターといい、この人は
今後も魅力あるステージを聴衆に届け続けていく歌手
だと思う。


青山 貴さん
リサイタルでの柔らかで温かなトーンではなく、
硬派な青白きトーンでの若いヴォータン。
第2幕でのブリュンヒルデにやむなくフンディンクに与せよと
伝える場面は、低い音域が続くので大変そうだったが、
かえってヴォータンの苦しい心情が出ていた。
歌唱としては第3幕が素晴らしく、ブリュンヒルデに
厳しい決意を伝える場面と、それでも愛する娘に対する
苦しい心情を吐露する独唱の場面は気品ある声で
実に素晴らしかった。
ある種、若々しいヴォータンという新鮮な印象を
打ち出すことに成功したと思う。

ところで、いつか=今度は、斉木さんと青山さんが
入れ替わり、
斉木さんのヴォータン、青山さんのフンディンクというのも
聴いてみたい気がする。


大村博美さん
メゾに近いソプラノというのか、独特の余韻を湛えた
トーンを持つ歌手。
なので、この苦しみと強い愛情を抱いたジークリンデには
うってつけで、実際、情感豊かで情念を秘めた役所を
見事に歌いきった。


横山恵子さん
既に第一級の名歌手として海外で活躍している歌手。
ブリュンヒルデとしての声量や技巧、舞台での
舘振る舞いとも見事で文句なし。


小山由美さん
小山さんのフリッカも、神々しさというより
 「見事なまでの憎々しさ」を声にも演技にも出していて、
さすがのデキ。素晴らしい歌手だ。


 ブリュンヒルデ以外の8人のワルキューレの皆さん

オルトリンデの役を既に複数歌っている江口順子さんや、
いろいろなオペラでお馴染みの杣友惠子さん、
来年早々の新国立「カルメン」でフラスギータを歌う平井香織さん
ら、14日は特にソリストで活躍している人ばかりを揃えている
だけあって、実に見事だった。
圧倒的な迫力とアンサンブル精度の高さ。
申し分のないワルキューレたちだった。


オーケストラ
総じて良かった。歌手同様、ここ20年くらいの間での
日本のプロオケのレベルアップは瞠目すべきものがある。
もちろん、4時間も演奏しているのだから、幾つか気になる点は
有った。
例えば、金管はさすがに3幕位になると疲れてきたようで、
やや音が割れる場面も出てきた。

3幕冒頭の「ワルキューレの騎行」では、
3拍子のリズム感が良くない。
具体的にはホルン群が少しツンのめる傾向があり、
1拍目から2拍目に入るのがほんの0.0何秒か速い
のだ。
なので、微妙に居心地の悪い3拍子で演奏されていたのは
大いに気になった。
でも、全体としては とても立派な演奏。


指揮の沼尻さんは、いつもながらの真面目な指揮ぶり
なのだが、ずっと精一杯大きく4つや3つに振っている姿を
見ると、「もっと楽に、手を抜けばよいのに」と思ってしまう。
もちろん、オケだけでなく、ほとんど絶えずステージを
見ていなければならいし、キュー(サイン)も場面では
強く出すわけだが、そうそう始終大きく振る必要は無いだろう
になあ、と余計なお世話的に思ってしまうのだ。


演出
古代的でもないが、流行りの現代劇置き換えという
バカなことはしていない、ある種手堅い演出だったように思う。
シンプルに効率的にステージ区間を使い、場面転換も
実に効率的でスピーディだったことも印象的だった。


満員の聴衆はたいそう楽しめた公演だったと思う。

なお、たいていの公演の各席やロビーで二期会の
高丈二理事長を見かけるが、この日もお見かけした。

« 東日本大震災から2年半~復興に待ったなし  藤原紀香さんのコメントも紹介します | トップページ | 池辺晋一郎さん 「第九」 世界初演 »

ブログ HomePage

Amazon DVD

Amazon 本

最近のコメント

最近のトラックバック