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2013年9月16日 (月)

ワーグナー生誕200年記念コンサート      飯森泰次郎さん 清水華澄さん 大槻孝志さん 大塚博章さん 池田香織さん

日本ワーグナー協会の主催により開催されたコンサートで、
以下の曲がサントリーホールで演奏された。

指揮はワーグナーの第一人者 飯森泰次郎さん

オケは、この日のために3つの優秀な
アマチュア・オーケストラメンバーによる臨時編成の
ワーグナー祝祭オーケストラ

詳細は後述のとおり。

1.「神々の黄昏」から
 (1)ジークフリートの葬送
 (2)ブリュンヒルデの自己犠牲

   ブリュンヒルデ…池田香織


 (休憩)


2.「ワルキューレ」第1幕

   ジークムント…大槻孝志
   ジークリンデ…清水華澄
   フンディング…大塚博章


まずはオーケストラについて、
紹介と演奏の感想も含めて書いてみたい。

冒頭記載のとおり、3つのアマチュア・オーケストラによる
合同の演奏だった。

①新交響楽団は何度も聴いているオケで、国内最高峰
  と言えるもの。
  年4回も定期演奏会をやっているアマチュア・オーケストラは
  日本にアマオケ多しといえど、ここだけだろう。

②東京アカデミッシュカペレも2回聴いている。
  とても優秀なオケ。

③ザ・シンフォニカは未聴だが、ジュネス・ミュジカルで
  出会った人たちが母体となって1987年に設立された
  というから優秀に違いない。

コンサートマスターだけは、プロオケから、飯森さんの手兵
でもある東京シティ・フィルハーモック管弦楽団のコンマス、
戸澤哲夫さんが統率すべく加わった。


オケについての感想だが、前半に問題を残した。
木管の和音の良さに比べると、金管群のハーモニーの
精度がいまひとつ良くない。名手揃いとはいえ、
いわゆるワーグナーチューバ4本を加えた大編成ゆえ、
本番のステージに拡がった空間的、反響的イメージを
つかみきれていなかったのかもしれない。

弦の低弦は問題無いが、ヴァイオリンがキレイではある
ものの、総体としての厚みが出てこない感じがした。

それと、後述するが、歌手の声を消してしまっている場面が
多く、PやPPでサッと消えて欲しいところ、mfくらいで
残ってしまうなど、柔軟性が弱い点なども、
いつもと同じメンバーではないことによることが原因の1つ
だと想像できる。

もし、この日の演奏会がこの曲だけだったとしたら、
オケについてはこう書いただろう。

 「やはり臨時編成の場合は、単に抽象論ではなく、
  音の総和としても充実度という点からも、一体感が
  やや希薄な感じがした。これなら、新交響楽団だけとか、
  アカデミッシュカペレだけ等、1つのオケを主体として、
  少しのエキストラというかたちで演奏したほうが
 良かったかもしれない」、と。

ところが、後半の「ワルキューレ」
 ~先日のオペラでは「ワ」としているが、この演奏会では
  「ヴァルキューレ」とされていた。飯森さんのこだわりが
  うかがえる~
は、別のオケかと思うくらい素晴らしかった。

各セクションも全体としての音の充実度も申し分ない。
もちろんこれは、同じく大編成とはいえ、「神々の黄昏」より
「ワルキューレ」のほうが より「室内楽的に書かれている」
ということが言えるからだろう。

この楽劇の抒情性を基盤とした叙事的オーケストレーション
の見事さはいくら絶賛してもし足りないだろう。
そして、それを十分に再現したオケの素晴らしさ。
これぞアマチュア・オーケストラによる最高の演奏と絶賛したい。

なお、プログラムを見ると、新交響楽団からの参加者は
やや少なく、人数的には東京アカデミッシュカペレと
ザ・シンフォニカのメンバーが主体のようだ。

それから少し余談というか、専門的な内容になるが、
オケピットでは見え難いから判り難いが、こうした
演奏会形式だと面白いことに気付く、ということがある。

例えば、

①ワルキューレの第1幕後半には、
  ヴァイオリンとヴィオラで、4つの弦を絶え間なく上下に
  行き来するアルページョ奏法の場面があるのだが、
  それよりも手前に、
  同奏法をヴィオラだけで相当長く連続演奏するところがある。
  この日はステージだから、ヴィオラがその部分で
  いかに大変かがよく判ったし、大変なほど、
  あまり聴こえてくるようなオーケストレーションでも
  ないんだよなあ、ということもよく判ったのだ。

②それと、ワルキューレの冒頭は、コントラバスが4つと
  スコアに指定されているが、飯森さんはもちろんそれに
  従い、少し先に行った ffのところから全員の10人で
  弾かせていた、ということも「見える化」による「発見点」
  でもある。


歌手について

1曲目
池田香織さんは声量は十分にある人だし、
私は彼女の中音域の声が好きなのだが、
その中音域の声は、特に前半において、
相当部分オーケストラによって消されてしまった。
これは膨大な音量を内包したオーケストレーションの問題
でもあるのだろうけれど、それでも、先述のとおり、
オケはもう少し歌手に対するアンサンブルの姿勢を見せて
欲しかった。
曲後半の伸びやか高音は、池田さんらしい充実した響きで
とても良かった。


2曲目
ワルキューレは、14日に全曲名演を聴いているので、
否が応でも比較してしまうが、比較をメインとする感想は
やはり失礼だし、能が無いので、それは避けるようにしたい。
もちろん、潜在意識としては比較しているだろうけれど。


清水華澄さん
変らぬ圧倒的な声量がサントリーホール一杯に拡がる。
彼女を初めて聴いた人はさぞ驚いたに違いない。
トーンの充実感、表現はオペラとして歌い演じていることを
意識的に行ったその表情とともに実に見事だった。

複雑な心のジークリンデというより、直截的で情熱的で
清冽なジークリンデという歌声だった。

もし、言及する点があるとしたら、とてもキレイに言葉が
流れていくので、歌詞のどこか要所要所で部分を強調して
言葉の抑揚(良い意味でのデフォルメ)を付けたほうが
良いほうにも想えた点だ。
もちろん、子音も含めてとても丁寧なドイツ語の発音なのだが、
イタリア語を連想するような、流暢過ぎるような言葉の運びが
やや気になった。
したがって、例えば、doch のDの音を もうほんの0.01秒くらい
長く発音することで、その意味が強調され、
それが聴衆に解り易く伝わると思うのだ。

それにしても、若くしてこの堂々たる歌唱は見事で、
終わったあとのにこやかなステージマナーともども、
これからも益々ファンを獲得していくことだろう。

私はいつか彼女のブリュンヒルデとイゾルデを聴いてみたい
と思う。彼女なら十分歌えるはずだ。


大槻孝志さん
クセの無いキレイな声が魅力的だ。
若々しくピュアな声が聴衆を魅了したに違いない。
ただ、言及する点があるとしたら、この役にしては
ややクールな客観的な感情表現であったようにも感じた
ことだ。
すなわち、アク(ディクション)が控え目なために、
恋する若者というより、
「恋する若者について、年長者が語っているような感じ」
がしてしまったのだ。
宗教曲での語り手のような冷静さを感じさせ、
そうした丁寧に歌おうとする誠実さが、
かえってこの役としてのキャラクターを弱めた点は在った
ように想える。
「心底 恋に全てを捧げる熱い歌」が聴けたらもっと良かった
とは思う。
でも、とても優秀で魅力的な歌手だ。


大塚博章さん
やや細い感じの声のバリトンで、この役ではアクの強さが
もっと欲しい気がしたが、的確で誠実な歌唱だった。
今回は出番が少ないので、今後もっとたくさん聴いてみたい。
見た目も少し与那城さんに似た感じでカッコイイ。
10月に三鷹で沼尻さんと演奏会形式で「魔弾の射手」の
カスパール役を歌うことは知っているが、
その日は都合が悪く行けないのが残念だ。


終演後直後から、長く盛大な拍手が続いた。
それは本当に「音量が落ちない盛大な拍手」で、
おざなりではなく、聴衆が感銘を受けたことを証明していた。

この日のサントリーホールの満員の聴衆は、この演奏会で
歌った4人全ての歌手にい強い印象を受け、
長く記憶に残るに違いない。
特に清水さんについては、客席全員が一気に
 「清水華澄ファン」になったと確信している。


飯森泰次郎さんはワルキューレも暗譜で振っていて、
さすが堂々たる自信に満ちたワーグナー指揮者という感じで
とても勉強になったし、良かった。
こういうマイスター(職人のボス)的であると同時に
情熱的な芸術家気質の指揮者というのは、
日本にはあまりいないタイプなだけに貴重な存在だ。

日本の楽壇は彼をこれまでやや冷遇して来たように想えるが、
全くまちがっている。
彼こそ、今後益々重要な指揮者であり続けると思う。

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