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2013年8月18日 (日)

映画 「最愛の大地」 アンジェリーナ・ジョリーさん初監督作品 戦時下の女性への性暴力を糾弾

今や世界で最も有名な女優の1人、アンジェリーナ・ジョリーさん
がとうとう映画の脚本と監督を手掛けた。
それも、優雅でゴージャスなハリウッド映画というなら解るが、
テーマは1992年から95年に起きたボスニア・ヘルツェゴビナ
の紛争だ。

そこで起きた陰惨な民族間の殺戮行為と、
5,000人がレイプされたとされるこの紛争における
女性に対する性的暴力をリアルに描き出した。

橋下徹氏が、従軍慰安婦問題について、
 「戦時下ではやむを得ないことだった。
  個人的に支持するとかそういうわけでないが」
とする発言があったが、結果として、アンジーは
 「ジョーダンじゃないわ。とんでもないことだわ」
ということを、言葉としてではなく、極めてリアルな映像
として私たちの前に突き出して見せたと言えるだろう。

セレブリティなゆったりした生活をしようと思えばいくらでも
できる人だろうが、彼女は実子3人の他、
カンボジア、エチオピア、ベトナムから養子を迎え入れ、
計6人の子供を育てているし、
10年にわたり国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の
親善大使としても活動している(昨年4月からは特使)。

また最近では、遺伝子科学の発達により将来の乳がん
の可能性が高いとして、未だ発症したわけではないのに
乳房にメスを入れたことでも話題になった。
これは当然、女優としてだけでなく、何より女性として
大きな覚悟と決断だっただろう。

こうした自身の生きることに対する果敢な行動が、
虐げられた他者への同情と怒りを原点とした芸術具現化に
向いたことは容易に想像できる。
しかし、想像できることと、実際に当人が行動に移したこと
とは別次元のことだ。

とにかく、アンジーはスーパー・ウーマンの域に達している。
深い敬意と崇敬の念を抱く。

キャスティングに際しては、アンジーは自分の名を伏せ、
俳優は有名無名を問わず、実際の対立間民族に関係する
セルビア人、セルビア系ボスアニア人、
ムスリム系ボスアニア人、セルビア系クロアチア人から
選ばれた。

史実の検証はアンジー自ら多くの学者等に徹底的に
問い合わせ検証し、そしてもちろん、
プロデューサーや撮影監督、編集といった主要キャストは
出身民族とかには関係なく、実績ある有名制作者が
アンジーのもとに結集して作り上げているので、
極めてリアリティに富んだ、作品としても完成度の高い映像
となっている。

ラストの女性主人公に関するショッキングな設定は、
 「男の小ささ、エゴイズム」、「小さな男の哀れさ」
を描いて峻烈だ。

それにしても、こうした紛争だけでなく、
サラエボ冬季オリンピックのスケート・リンクが
今は墓地になっている事実さえ、
いったい何人の日本人が知っているだろうか。

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