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2013年3月14日 (木)

春闘という不思議~奇怪なまでの平等志向心

春闘相場に大きな影響力を持つ自動車や大手電機メーカー等の
企業が、各労働組合の要求に対する回答を示した。
昨年のように、定期昇給を延期する大手はなく、
定昇実施、賞与も満額回答あるいは増額、と景気の良い話が
出ている。

しかし、中学生くらいのころから、漠然とながら、
弱肉強食の<資本主義的な空気>に違和感を覚えるとともに、
<みんなで賃上げ労使交渉>という社会主義的?集団行動
というものに対してもある種生理的なまでに違和感、
いや嫌悪感のようなものすら感じていた。

とっくに大人になった今でもその「感じ」は全く変わっていない。

企業は言うまでもなく、全て状況、事情が異なる。
10社あれば10社、100社あれば100社、
業績から人事制度から、あるいはそうした規則的なものだけでなく
在職する人のキャラクラーや会社の歴史等から醸し出されて
いる会社の個性(長短所いずれも含む)いわゆる企業文化も
全て異なるのに、給与に関して<いっしょに闘う>ことに
ずっと矛盾を感じてきた。

もちろん、戦後の日本の労使状況~日本労働組合総評議会
 =総評が昭和30年代にそうした一斉交渉術(戦法)としての
「春闘」方式を考えだした~ということは、社会主義思想の影響も
含めて知っている。

しかし、もう一度考えてみよう。

 「会社は個々に全く事情も状況も違う。異なる」 ということを。

個々の会社に、仮にどんな問題点~例えば評価基準が明確に
示されていない~これは若いベンチャー企業にありがちなこと
だが、歴史ある大手では規程的には有り得ない。運用上の
恣意的な人為的な問題は濃淡は別としてどこにもあるが~とか、
何らかの改善あるいは追及すべき問題点があったとしても、
給与やとりわけ賞与はその会社のそのときの状況で
経営者はむろん<実は個々の従業員だって>考慮し、
判断すべきことなのだ。

要するに、その会社の現状の利益、内部留保等に見合った額が
給与として支給されて然るべきである。

こうした<本来当たり前のこと>が、先述の社会的歴史的状況
から、妙に不純なまでの労使の関係性が生じて来たと言える。

普通、会社の業績が悪いとき、私のような愛社精神が
昔から希薄な人間でさえ、

 「会社の状況が良くないときは、自分の賃金のことなど
  二の次。下がってもやむを得ない」

と、<普通に考える>のだが、そう考えない輩が
 (とりわけエリート層にこそ)多いようだ。


「会社の状況が悪くても、給与が下がるのは許せない」という
 「思想」、あるいは、「定期昇給なるものは絶対だ」とする
 「思想」は、
<会社は永久に業績が上がっていくことを前提としている>
としか思えないのだが、もちろん、そんなことはどの会社にも
 ~歴史や規模等に関係なく~有り得ないのだ。

それでも、「会社の業績がどんなに悪かろうが、自分の給与が
下がったり、賞与が支給されないことなんて許せない」とする
 <正社員組>の「思想」は、
「将来、会社がどうなろうとしらない。自分が働いている間に、
 一定の給与がもらえればよい」と言っていることに等しい。

パナソニックはこの2013年3月期で、2期連続で
7000億円を超える連結最終赤字は避けられないというのに、
役員は既に報酬を 2~4割(たったの!?)返上し、
管理職も年俸を削減しているというが(どの程度だ?)、
組合員も<定期昇給を実施したうえで> 賃金を
<一定期間カットする>よう組合と協議する、という。

定昇という事実は作るが、すぐに一定比率減らすよ、
という奇妙なものだ。

「普通の常識」から考えれば、数千億円単位の赤字が
何年も続いている状態においては、
 「賞与が出ること自体おかしい」のであり、
 「給与だって減額されて当然」だ。

ところが、「春闘」の「思想」はそういう常識を否定するもの
なのだ。

けれど、そういう彼らゆえ、労働人口の35.2%を占めるに
至っている非正規雇用の人々のことなど彼らは決して
考えたりはしない。
 「彼らと自分らは違う」、と思っているからだ。


こうした旧態然たる状況に対して、良い悪いは別として、
結果的に真っ向異論をぶつけてきたものが、
一時期時に喧伝された年功序列の完全否定である
 「実力主義」「成果主義」、あるいは方法論としての
賞与の無い(それを含んだ、との理屈上は解釈は一応は
できるが) 「年俸制」であり、
しかもしれは明確な賃金体系を敢えて無視して、
半期という短期間ごとに給与を見直すという
 <野性的な>方法論である。

また、同時に、1995年に日本経済団体連合会が出した
 「新時代の日本的経営」という愚かしいシナリオだ。

ここでは、日本に「できる人=正社員」と、
「そうでない人=非正規雇用社員」を明確に法的に分ける
階級社会をもたらした思想と、
それに乗じた人材派遣会社の急増が見て取れる。


このように、今ではこの国においては、
①歴史ある会社を中心とした旧態然たる「春闘」という
  社会主義的給与体系路線と、
②若いベンチャー企業を中心ある「実力主義」「成果主義」
 「半期年俸制」という全く真逆な賃金決定手法を採る
 労使関係が存在しているのである。

唯一の共通点は、前者においては正社員側において、
後者においては経営者側においてそれぞれ
 「非正規社員は必要としない」という冷徹な論理だけ
である。


  注釈

定期昇給…年齢や勤続年数に応じて、賃金が毎年 定期的に
       上がることで、1年先に入社した先輩が前年に
       もらっていたのと同じ賃金がもらえるもの。

ベースアップ(ベア)…会社の賃金表を書き換えて、
       社員の賃金を一律に引き上げることを指し、
       定期昇給に加えて実施するもの。

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