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2013年3月30日 (土)

第2回 音楽大学フェスティバルオーケストラ   お祭に相応しい選曲 若い見事な技量を堪能

1999年から2004年に東京文化会館で開催された
「音楽大学学生オーケストラの祭典」が、
2009年に、東京芸術劇場とミューザ川崎の協力を得て復活し、
学生自身同士による運営=事務的連携も含めて、
個々の大学オケの演奏だけでなく、
春には大合同演奏会も加わり開催されて来ている。

後者としては今回が第2回目。

音大生のオケ、というのは、単に言葉のイメージからだけでは
なく、過去に実際に聴いた折も含めて、
ちょっと中途半端な感想に終わるという要素はあると思う。

一般大学や社会人のいわゆるアマチュア・オケよりは総じて
上手いだろう、あるいは巧いはずだ、という感想と、でも、
「大人のプロオケ」とはやはり未だ「何か足りない」感じも
する、という具合に。

過去、数回=幾つかの音楽大学の単独演奏を聴いた際も、
それを否定はできない印象を受けた。

個々の演奏だとまだそうした感想を禁じ得ないことが多いが、
それでも、この日の合同演奏となると、格別な感慨を覚える。
今回の合同オケによる演奏は3曲全て素晴らしい演奏だった。

 指揮は、大ベテランの秋山慶和さん。
 先日、東響で「嘆きの歌」等を聴かせていただいたばかりだ。

曲は3曲で、

1.リヒャルト・シュトラウス 「祝典序曲」

2.レスピーギ 「ローマの松」

 (休憩)

3.マーラー 交響曲 第5番


1は、東京芸術劇場のステージ正面の巨大なオルガンを交えた
 こともあり、効果絶大なのだが、ただ、曲としては
 なんともゴージャスながら、何を言いたいか判り難い曲だ。
 リヒャルト・シュトラウスの「豪華だが、空しい音楽」が
 出てしまった曲。
 それでも、演奏はパイプオルガンをはじめ、巨大な編成で
  ~ティンパニ2人、バスチューバも2人、シンバルも2人、
  12人のトランペットバンダがオルガンとならんで吹く、
  というもので~楽しめた。


2は、私自身2回演奏したことがあるので、よく知っている曲
 だし、大好きな曲だ。

 第1部は曲想としては軽いものだが、ハープ、ピアノ、
 チェレスタ等、バスドラの扱いやその他特殊打楽器も含めて、
 オーケストレーションが興味深い曲であることをあらためて
 認識した。

 第2部の厳かな曲想が良い。ドラ=ゴングの使用も印象的。
 中間部での舞台裏からのトランペットソロは
 とても上手くて素敵だった。

 第3部でのピアノソロの導入後のクラリネットソロは
 実に美しく完璧に吹いた。
 可愛らしい顔立ちの女性だったが、抜群に上手い。
 本当に素晴らしい演奏で驚嘆した。
 終演後、真っ先に指名で立って拍手を受けたのは当然である。

 例の「鳥のさえずり」は、録音されたスピーカー再生で、
 ちょっとガッカリ。
 奏者がいろいろな場所で笛でやって欲しかった。

 最終部は、ご存知のとおり、ひたひたと歩いていく感じと、
 ポコ ア ポコで全体が大きくクレッッシェンドしていく
 魅力的な曲想。バスドラやシンバルの扱いも巧み。

 この第4部でも打楽器はとても上手かった。
 バスドラ=大太鼓にしてもシンバルにしても。


管楽器と打楽器は、前半の2曲と後半1曲とでは完全に
入れ替わった。
前半においても、バンダを除いて1曲目と2曲目でも
入れ替わったので、管打楽器は、曲ごと3つの組からの編成
としていた。


 マーラー 交響曲第5番

なんと言っても、
第1トランペッターの女性奏者に素晴らしさに尽きた。
実に見事な演奏で、心底感動した。

少しぽちゃっとした感じの女性で、最初の三連符だけ
やや不鮮明だっただけで、あとは申し分なく素晴らしかった。

何よりも彼女の音色が良い。
低音は太めの音、高音は実に繊細な細いトーンでも吹けるのだ。
なんという奏者だろう。第1楽章の終わり近くなんて、
泣きたくなるくらい素晴らしかった。

この曲のトランペット演奏で、プロを含めて、
ライブと多くの名門オケによる録音も含めて、
こんなに感動した記憶は無いくらいだ。
第3楽章も実に見事だった。


女性ティンパニ奏者も実に見事
バスドラを受け持った女性も素晴らしい。

第3楽章では、ホルンの~これまたふっくらした~女性奏者を、
なんと指揮者のまん前まで来させてそこに座って吹いた。
たまにあるシーンのようだが、プロの名門オケならともかく、
音大とはいえ、学生でこれは~腕に自信があっても~
相当なプレッシャーだろう。

演奏は迫力あってなかなか良かった。
でも、敢えて指揮台の前まで来させる必要があったかどうかは
疑問。
むしろ、ステージ後ろの定位置で朗々と吹いたほうが印象的
だったのではないか?とも想えた。

第4楽章のアダージェットの弦は薄い音で、
透明感はあるものの、
エスプレッシーヴォはあまり感じらえない。
これは指揮者の気質によるものであろうから仕方がない。

第5楽章冒頭など、第3楽章以外で1番を吹いた男性奏者も
安定した実に立派な演奏。

問題は弦だった。
もちろん良く弾けているのだが、音に厚みが無いということや
色=トーンも平凡ということが言えるし、それにも増して
一番残念に思えたこととしては、なんだか、
 「言われたことをちゃんと弾いています
」というレベルに留まり、それを超えたところの
自発的なアンサンブルという点が希薄だったことだ。

特にマーラーの終楽章ではご存知のように、対位法や
フーガのように弦の各パートが<掛け合いながら進行する流れ>
が多用され、重要な要素だし、聴く側以上に演奏者側として
楽しめる要素のはずだが、
そうした「演奏する喜び」がいま一つ表出されて来なかった。

これは指揮者に最大の責任があるのは当然だが、
コンマスにも責任はもちろんある。
今回、各1曲ずつコンサートマスターが入れ替わりで担当し、
むろん偶然だろうが3曲とも女性だったのだが、
失礼ながら3曲=3人とも、なんか大きな荷を負う感じだけ
伝わり、普段これまで知らなかった他大学のそれも
巨大編成多人数の奏者をたばねるには、ちょっと大変、
という感じが3人ともしたのだ。

言うまでもなく、女性だからリーダー=コンマスが
務まらないなどということはなく、現実に、
日下紗矢子さんや鈴木理恵子さん、
東響の大谷さん等々。外国にももちろんいる。

でも、今回はなんとなく全体をリードするという点では、
物足りない印象を覚えた。


 女性優位は歴然

先述のように、コンマスは3曲とも女性だし、
レスピーギでのティンパニ、素晴らしい1番クラリネット奏者、
マーラーでは、ファゴット以外の木管の1番は全て女性だった。

ティンパニとバスドラ(大太鼓)も女性。
それと、第3楽章でホルンソロを担ったのも女性。
しかもそれぞれが、抜群に上手かった。

もちろん、男性も弦金管打楽器にいる。
シンバルの男性は上手かった。
5番はアダージェット以外の全ての楽章で、
シンバルがとても有効で重要なサウンドを響かせるのだが、
どこも良かった。


演奏が終わり、カーテンコールで、ソロでは、
まずホルンで、秋山さんんが第3楽章ソロを受け持った女性を
なんと再度、指揮台前まで行かせての拍手受けは、
どうかなあ?とちょっと疑問だった。

というか、私の不満は、
「まずは第1トランペッターを立たせるべき」 だろうと
思ったからだ。

もちろん、2回目のカーテンコールの最初=全体の2番目
としては彼女を立たせ、私を含めて大きな拍手を得、
本人はちょっと驚いたようだったが、
当然の聴衆の反応である。
素晴らしいトランペッターに心からの拍手と感謝を送りたい。

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