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2013年2月23日 (土)

こうもり 二期会~演出の良さ 愉悦のひととき  お客さんのノリの良さが印象的な公演

二期会公演の「こうもり」の23日の公演を東京文化会館で
見、聴いた。

個人的なことだが、父が体調を崩していて、
相当難しい状況にあるので、気が重いまま会場に向かったが、
行って良かったと心から思える公演だった。

 日本語による上演

歌手等、具体的な感想は後述するが、とにかく、
白井 晃さんの演出が面白く、また、聴衆のノリの良さが素敵で、
上野なのに、「ここは関西か?」と思うほど、何度も笑いが
起きていた。

後でフと思ったが、あるいは、関西で活躍している指揮者
 大植さんのファンが多く来場しているのかもしれない。
それはともかく、客席がこれだけ沸くオペラ
 (正確には)オペレッタ公演は東京では珍しい気がする
ほど楽しい雰囲気に満ちた公演だったし、
終演後、ロビーに出てくる聴衆は皆楽しめ、満足して
帰途についたに違いないと感じられる公演だった。


   主なキャスト

指揮; 大植英次

管弦楽; 東京都交響楽団

合唱; 二期会合唱団

演出; 白井 晃

日本語訳詞; 中山悌一

日本語台本; 白井 晃

       20(水)& 23(土)    21(木)& 24(日)

アイゼンシュタイン 萩原 潤      小貫岩夫

ロザリンデ     腰越満美      塩田美奈子

フランク       泉 良平       三戸大久

オルロフスキー  林 美智子      青木エマ

アルフレード    樋口達哉       高田正人

ファルケ       大沼 徹       宮本益光

ブリント       畠山 茂       李 宗潤

アデーレ      幸田浩子      坂井田真実子

イダ        竹内そのか      井関麻衣子

フロッシュ     櫻井章喜       櫻井章喜


カヴァー…ロザリンデ;醍醐園佳  アデーレ;見角悠代

アンダースタディ
…ロザリンデ;三井清夏  アデーレ;全 詠玉


 指揮者とオーケストラについて

日本でのオペラ舞台指揮は初めてという大植氏。
序曲では、そんなに大振りしなくてもいいのになあ、
と思うくらい大き過ぎる身振りだったが、
それがこの人の個性なのだろう。

都響は全体としてとても良かった。
特に第2幕と第3幕での抒情的な部分での弦の透明感は
キレイだったし、金管の安定感は抜群だし、
木管も打楽器も音量バランスを含めて申し分無かった。

ただし、序曲だけは疑問に感じた。
大植氏が大きな身振りで、楽想も大きなアゴーキグを
頻繁に使ってテンポを動かしていて、
それ自体は良いと思うし、オケも彼の要求通りに演奏していたと
思うが、逆に自発性の無さを感じてしまう演奏だった。

キチンと指揮者の言うとおりに演奏しているけれど、
オケの自発性を感じることが皆無な序曲の演奏。
こういうところは外国の、特にウィーン・フィルなんかと
決定的に違う点だ。もちろん、
音色の魅力もウィーン・フィルと比べては気の毒なのだが、
曲が曲なので、どうしても比べてしまう。

けれど、そういうことは特に序曲では感じたものの、
それ以降、オペレッタ演奏としてのオケとしての仕事は
十分に果たしていたと思う。


 演出について

「こうもり」は恐らく大抵の演出でも楽しめる要素を
たくさん持ったオペレッタだろうから、逆に聴衆は
 「今回のこうもりはどういう演出か?」
と楽しみに来る人も多いかと想像する。
今回の大成功の大きな要素が演出にあったと言えるだろう。

演出は俳優としても有名な白井 晃さんで、
今回の公演は得意の「酒ネタ」と、ユーモアたっぷりの演出が
面白かったし、全ての出演者もそれに見事に応えていた。

舞台は3幕それぞれ、華やかさは敢えて完全に排し、
シンプルで素朴であくまでも機能的な面を主体としたもので、
ゆえに一層、歌手の歌と演技による盛上げが重要となる設定
だったと言える。

とにかく、少なくともこの日のお客さんの「乗りの良さ」は、
東京では滅多に出会えないほどの会場の雰囲気で、
それだけでも、共に楽しんでいるという共生感が在って
とても良かった。


  歌手について

アイゼンシュタイン役の萩原 潤さん
バリトンの中でも特に美声。演技も抜群にうまい。

ロザリンデ役の腰越満美さん
背が高く美人だから、カッコイイ。
声、特に第3幕の刑務所でのアルフレード、弁護士に
なり代わったアイゼンシュタインとの三重唱のところでの
歌は本当に素晴らしかった。
第2幕の長大な「チャールダーシュ」のアリアでは、
音域的にか、いま一つ会場に届いて来ない感じもしたが、
それ以外は全体としても歌声だけでなく、
セリフの声の太さも含めて「とおり」も抜群で申し分なかった。

アルフレード役の樋口達哉さん
惚れ惚れするような美声。演技もユーモラスで申し分ない。

アデーレ役の幸田浩子さん
好調で、「公爵様、あなたのようなお方は」を含め、
大きな拍手と歓声を何度も受けていた。
ただ、幸田さんの大ファンである私が気になったのは、
この役での声の細さということもあるが、それよりも、
日本語上演ゆえの難しさという点で、
彼女の絶え間ない細やかなヴィブラートが
どうしても日本語の明瞭さを邪魔してしまっている感じが
する場面も多々あった。
けれど、セリフではむしろ、普段の幸田さんのイメージ
よりも強い明瞭な発音での日本語が素敵で、
魅力的な演技と舞台姿だった。

ファルケ役の大沼 徹さん
第2幕で終盤でのファルケから歌い出す、
あの3拍子の歌こそ、このオペレッタのファンタジーとしての
最大のヤマ場、聴かせ場所、夢のようなシーンだと思う。
泣く理由は無いのに、自然と感涙する。
 「ああ、音楽って、やっぱりいいな」、と思うシーンだ。

フランク役の泉 良平さん
第2幕のパーティ場面も第3幕の刑務所シーンも、
アイゼンシュタインとのやりとりはとてもユーモラスで
とても良かった。

オルロフスキー役の林 美智子さん
難しい役。声量がいまひとつ会場に届いて来ない。
歌よりも、若いズボン役して、かっこよさで
存在感を示していた。

ブリント役の畠山 茂さん
演技も面白かった。

イダ役の竹内そのかさん
セリフがメインの役だが、良い声で、素敵な舞台姿だった。
プログラムのプロフィール写真で見ると、
別の組のイダ役の井関麻衣子さんもたいへんな美人で、
彼女がどう演じるかも観たかったが、都合つかず残念だった。

フロッシュ役の櫻井章喜さん
もの役を誰がどう演じるか、も、このオペレッタの成功の
カギを握る役の1人と言えるだろう。
とても面白く、第3幕全体を大きく盛り上げていた。


 合唱について

全体的に合唱がとても良かった。

 最後に再度、全体について

これぞオペレッタ、これぞ音楽の楽しみ、ということを
感じさせてくれる公演に心からの拍手を送り、感謝したい。

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