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2011年8月 9日 (火)

どうやら日本経済新聞さんの「勇み足」のよう

「日立・三菱重工 統合へ」
8月4日の日本経済新聞朝刊一面の大見出しだ。
両社が「経営統合」を決めたと大スクープするかたちでの
日経新聞の記事。

これについて、午前、日立側が夕方にも記者会見すると
コメントしたのに対して、三菱重工は早々に否定。
そして、同日、三菱重工は、「本日の一部報道について」
というタイトルで社長名で開示した。
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120110804096855.pdf

以下はその内容(全文)

         本日の一部報道について

  「本日、当社と株式会社日立製作所との統合に関して、
  一部報道がありましたが、これは当社の発表に基づく
  ものではありません。
  また、報道された統合について、当社が決定した事実も
  ありませんし、合意する予定もありません」


これを読んだ人は100人中、100人がこう感じただろう。
 「わぁ、三菱重工さん、怒ってるなぁ」、と。

もし、水面下でほぼ同内容にて進められていて、
形式的にいっとき否定するのなら、
「報道された統合について、当社が決定した事実もありません」
までで止めると思う。
 ところが完全に念を押すかの如く、
「報道された統合について、当社が決定した事実もありませんし、
 合意する予定もありません」

 「も」 ありません「し」、 「合意する予定 「も」 ありません」

この後段の「合意する予定もありません」というのはある種
「絶対的なまでの完全否定」と言ってよいだろう。


三菱重工さんが「怒った」理由は、「経営統合」という認識の違い
と、その一方的な「日経新聞へのリーク」ありそうだ。

言うまでもなく「経営統合」と「事業統合」は概念的に全く異なる
ものであるだけでなく、前者の場合だと両社の力関係に
直結する問題に関わってきてしまう。

「経営統合」を前提にすると、単純に売上高だけを見れば、
9兆3158億円の日立製作所に対し三菱重工は3分の1の
2兆9037億円だから、報道の
 「新会社の売り上げ規模は12兆円」
という言い分だと、両社が全面的に経営統合した場合の数字を
意味し、その場合、
 「常識的には」企業規模の大きい日立が三菱重工を飲み込む」
ことになる。


後者の「事業統合」なら、実は両社は3~4年前から重電部門を
中心にそれを検討してきてはいるが、しかしこれはあくまで
タービンや発電機、原発プラントなどを中心とした電力関連事業
についての「事業統合」についてのものだ。

「事業統合」の場合なら、例えば、三菱重工の原動機事業部と
日立の電力システム社が統合されると仮定した場合、
三菱重工の原動機事業は同社の稼ぎ頭で、
2011年3月期決算の同事業部の売上高は9969億円、
営業利益は830億円で売上高営業利益率は8.3%なのに対して
日立の電力システム社は、売上高こそ8132億円と見劣りこそ
しないが、営業利益率は2.7%にとどまるので、
主導権は「常識的には」三菱重工が握るはずである。


業績が苦しいとはいえ、また財閥系ではなくとも、日本を代表
する巨大グループ会社の、その中心たる日立製作所とすれば
 「三菱重工なんぼのもの」 くらいのプライドはあるだろう。

しかし、逆もまた真。

三菱重工1つを見れば規模的には日立に劣るとはいえ、
三菱グループとしては、旧財閥系としてのプライドにかけて、
その「負の歴史」も含めて歴史的に三菱Gの中核的な位置
として存在してきた三菱重工が
  「日立ごときに飲み込まれることなど許さない」
と考えるのは当然中の当然だろう。


そして夕方の毎日新聞により、三菱重工業の大宮英明社長は
8日午前、毎日新聞の単独インタビューに応じ、
日立製作所と経営統合に向けた協議に入るとの一部報道
について、「現時点で協議に入る事実はない」と述べ、
日立とは当初から事業統合を目指していたとの認識を明らか
にしたことが報じられた。


   日経新聞さん、「スクープ」と色めき立つ前に、

  「ちゃんと<両社から>、<確実なウラ>を取ったほうが
   よろしいかと」

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