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2011年8月 2日 (火)

ちょっといい話 その2 雑誌「音楽の友」8月号  バルバラ・フラットリさんの愛ある決断

原発を懸念してキャンセルする外来演奏家が多いことは
何度か書いた。そして、そうした中にも、
敢えて来日してくださる演奏家もいることも書いた。

メトロポリタン歌劇場の来日公演においても、
アンナ・ネトレプコやヨナス・カウフマンなど数名がキャンセル
した。 そのため、ネトレプコが歌う予定だった
「ラ・ボエーム」のミミ役の歌手がいないことになった。

バルバラ・フラットリさんは「ドン・カルロ」のエリザベッタ役
で来日したのだが、空港からホテルに向う車に、
メトの総裁から電話が入った。

 「急な話だが、ミミを歌って欲しい。
  あなたがミミを歌ってくれなければ、
  ボエームの公演は取り止めるしなかい。
  エリザベッタは他の人に代えるので、
  ぜひミミをお願いしたい」

フラットリさんは、
 「呆然として、車から転げ落ちそうになるくらい驚いた」という。

 「とにかく、少し眠らせてください。
  それから考えますのでお返事はそのあとで」

そして、気を静めてからこう考えたという。

 「私はエリザベッタ役の準備を重ね、満を持して来日した。
  しかし私はMETのために歌うのではなく、
  この困難な状況の中にある日本の人々のために
  来日を決意したのだから、
  私は日本の人々のためにミミを歌おう」

決意したフラットリさんが総裁に伝えた。
 「わかりました。ミミを歌います」


幸い、1ヶ月前にチューリッヒの歌劇場でミミを歌ったばかり
ではあったというが、それでも、そのあと今回の公演のために
気持ちと頭を切り替え、あくまでも「ドン・カルロ」の
エリザベッタ役としてその役に集中して来日したのだから、
どんな名歌手でも急な変更に驚き慌てるのは当然だろう。

それでも、自分のこととか、メトのためとか言うより、あくまでも
日本の聴衆のことを考えての決断に敬意を表さずにはいられない。

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