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2011年7月18日 (月)

海にきらめく珠玉のチャリティガラコンサートⅨ

東京藝術大学のキャンパスに初めて入った。
旧奏楽堂を越えて、芸大音楽部の正門から入って正面にあり、
内部はシックで美しい。

プログラムによると、NPO法人 日本声楽家協会が、
年に1度、チャリティコンサートを主催して諸団体に公演を依頼
する演奏会が今年で16年目を迎え、
海の日の「チャリティ・ガラコンサート」としては今年で9年目
とのことで、したがって、
東日本大震災のための急な企画ではなく、
身体にご不自由があるかたや恵まれない家庭環境にあるかた
などを対象に実施されてきたものだが、今年は当然、
特に東日本大震災の被災者支援に重点を置いて寄付される
とのこと。

公演は三部制で、第一部と第三部にソロ歌手による歌、
第二部にアマチュア有志による合唱団がモーツァルトの
「レクイエム」の中から抜粋して歌った。

以下、敬称略で。

第一部
1.ドニゼッティ作曲 歌劇「愛の妙薬」より「人知れぬ涙」
   望月哲也(Ten.) 石野真穂(Pf.)

2.マイヤベーア作曲 歌劇「ディノーラ」より「影の歌」
   臼木あい(Sop.) 石野真穂(Pf.)

3.グノー作曲 歌劇「ファウスト」より「故郷の土地を離れる前に」
   宮本益光(Bar.) 石野真穂(Pf.)

4.ヴェルディ作曲 歌劇「十字軍のロンバルディア人」より
    「私の喜びを彼女の美しい心の中にひたしたい」
   又吉秀樹(Ten.) 服部容子(Pf.)

5.ヴェルディ作曲 歌劇「群盗」より
    「忌まわしい祝宴から私は逃げてきました」
   大岩千穂(Sop.) 森島英子(Pf.)

6.ビゼー作曲 歌劇「カルメン」より「闘牛士の歌」
   須藤慎吾(Ten.) 服部容子(Pf.)

7.ビゼー作曲 歌劇「カルメン」より「ハバネラ」
   伊原直子(Alt.) 森島英子(Pf.)


第二部
8.モーツァルト作曲 「レクイエム」より
  第1曲 レクイエム、キリエ
  第2曲 ディエス・イレ
  第5曲 レコルダーレ
  第7曲 ラクリモーザ

ソロ 宮澤尚子(Sop.) 米谷朋子(A-Sop.)
   又吉秀樹(Ten.) 原田勇雅(Bas.)
   合唱 ①日声協祝祭合唱団 ②日本声楽家協会研究所
       ③日本声楽家協会教育センター他有志
   指揮 高橋大海
   ピアノ 服部容子 森島英子


第三部
9.バーンスタイン作曲 交響曲第1番「エレミア」より「哀歌」
   手嶋眞佐子(M-Sop.) 服部容子(Pf.)

10.プッチーニ作曲 歌劇「蝶々夫人」より「ある晴れた日に」
   羽根田宏子(Sop.) 石野真穂(Pf.)

11.プッチーニ作曲 歌劇「トスカ」より「妙なる調和」
   小原啓桜(Ten.) 石野真穂(Pf.)

12.プッチーニ作曲 歌劇「トゥーランドット」より
    「お聞きください、王子様」
   島崎智子(Sop.) 森島英子(Pf.)

13.ヴェルディ作曲 歌劇「運命の力」より
    「心の中に私の運命が」
   甲斐栄次郎(Bar.) 服部容子(Pf.)

14.ヴェルディ作曲 歌劇「ドン・カルロ」より
    「ひとりさびしく眠ろう」
   高橋啓三(Bar.) 森島英子(Pf.)

15.ララ作曲 「グラナダ」
   川上洋司(Ten.) 森島英子(Pf.)

16.ソロ、合唱の出演者全員で ヴェルディ作曲
    歌劇「ナブッコ」より
   「行け、我が想いよ、金色の翼に乗せて」


今回もたくさんの素晴らしい歌手を新たに知った。
ただ、ホールの響は、
「ステージ上にこもる、あるいはステージ上だけで響く」
かのような、やや「モワッ」とした感じがした。
私の席はステージから前5列目の左端という、
それ自体音響が良くないであろう場所ではあったが、
それでも声が会場後方に響いていくのは確認できたので、
むしろ後方のほうが良く響き、聴き易かったのかもしれない。


感想
第一部
1の望月さんは持ち前の抒情的な歌唱。
2の臼木あいさん、とても好調。特に後半は響易いホールとは
 言い難いホールにもかかわらず 朗々と響く声と技量で
 聴衆を魅了した。
3ではむしろ曲自体がいいなあと感じ入った。
4のテノールの又吉さんは初めて聴いたが朗々とよく通る
 トーンが魅力的。
5メゾのような独特のトーン。
6の須藤さんは初めて聴いたが素晴らしい。
 日伊コンサルソで優勝しているだけのことはあるし、
 藤原歌劇団で活躍しているだけのことはある。
 声量豊で歌自体をPRしていく術を知っている人だと思う。

第一部で歌い終わったときに会場から「どよめき」が起きたのは
臼木あいさんのときと この須藤さんのときだった。

7津田ホールでも聴いたばかりだが、「永遠の妖女」とも
 いうべき大先生だ。


第二部
8の第二部の合唱は正直言ってガッカリした。
人数バランスが悪い~合計でソプラノが71人、アルトが51人、
テノールが22人、バスが20人~ということ自体にもむろん
問題はあったものの、バスが音量的に弱いだけでなく、
声の響、質感もいわば「素人の発声」。

 「同じアマチュアでも、もっと普通に合唱としての
  バスの声を有する合唱団はゴマンと在る」

女声は人数が多かったが、その割には思いのほか声質感は
統一されていたから、それほど悪くはなかったのだが、
合唱団全体としては、第1曲では指揮者がテンポを速めに
とったこともあり、特にアレグロである「キリエ」では
合唱団が「ついていっていない」ところが散見され、
合唱、指揮、2台のピアノという3つの「かけあい」において
「ちぐはぐ」さが目立ち過ぎていた。

ソリストは良かった。
特にソプラノの宮澤さんは芯のしっかりした声でトーンも明るく、
とても好感が持てた。


第三部
9の手嶋さんは、今回ハデな曲を歌う人が多い中、実にしっとりと
  内面からの歌を聴かせてくれて見事だった。
10の羽根田さんは初めて聴いたが、良い意味でオーソドックな
  良さを感じさせてくれた名唱だった。
11の小原さんは明るいトーンで朗々と歌い、聴衆を魅了した。
   教える立場でもいるようだから、生徒さんらが来場
   していたのか、とても大きな拍手と歓声を受けていた。
12の島崎さんは既に立派な経歴のあるベテラン歌手だが、
   私は初めて聴いた。えていて既に教師として長く生活
   されてしまうと「第一線での歌唱とは言えなくなる」傾向が
   なしとしないなか、島崎さんは素晴らしかった。
   実に見事で感動した。
13の甲斐さんは2003年からウィーン国立歌劇場の専属歌手
   として活躍されている。やはり「違う」と思う。
   素晴らしい。
   普段から大舞台のウィーンの厳しい聴衆の前で歌っている
   だけのことはある。圧倒的な声量と格調高い歌唱。
   そしてそれだけでなく、甲斐さんは歌っているその
   ステージ自体を「まるで私たちがウィーンの歌劇場で
   聴いているかのような」状況に導いてくれるのだった。
   「貫禄のステージ」だ。
14の高橋さんも実に温かな良い声で、リート的な語りのうまさを
   含めて丁寧に叙情的に歌い込めていくというスタイルに魅了
   された。
15のベテランで後進の指導に注力する立場にいる川上さんは
   声にハデさはないものの、木目のような美しい質感と
   格調い歌唱で立派だった。


第二部は意外な設定だったので、二回の休憩を挟んで
2時間30分に及ぶ長い演奏会だった。

今回は、甲斐さんの力量をあらためてまざまざと確認することが
できたし、
又吉さん、須藤さん、島崎さんというこれまで知らなかった
素晴らしい歌手を知ったし、
手嶋さん、小原さんの魅力をあらためて感じ入ったし、
楽しいだけでなくとても勉強になる演奏会だった。

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