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2010年11月14日 (日)

ル スコアール管弦楽団 第29回演奏会  「春の祭典」

錦糸町のすみだトリフォニーホールでアマチュア・オーケストラの
 ル スコアール管弦楽団の演奏会を聴いた。
プログラム解説によると、1996年に発足して年2回の定演を
行ってきており、団名の由来はフランス語の
「(オープンな)広場」という意味とのこと。
私が関心を持ったのは演目にストラビンスキーの「春の祭典」が
あったから。アマオケがやる場合は1つでも多く聴きたいと思う曲
で、言わずと知れた難曲中の難曲だ。
指揮は田部井 剛さんという人。早大商学部を卒業後、
東京音大と東京芸大で指揮を学ばれたとのこと。

後半に置かれた「春の祭典」以外のプログラムは、前半に
ベルリオーズの「ローマの謝肉祭」と
ベートーヴェンの交響曲第5番 いわゆる「運命」
 の2曲が演奏された。


感想
まず、「ローマの謝肉祭」は曲が「しょうもない」曲、
ベルリオーズだろうと何だろうとショボイ(ヒドイ)できの曲
なので、このオケに限らず、プロがやろうと
「コメントに値しない」。
ただし、演奏は立派だった。
コールアングレもパーカス全般も5プルトのチェロによる
パートソロも良いデキ。
1曲目から既にオケのアンアンブルのレベルが相当高いことが
確認できた。

ところが、・・・。
2曲目の「運命」。

ベートーヴェンはやはり「手ごわい」。
演奏の感想を結論からいうと「ヒドイ出来」。

第1楽章
冒頭から弦と管のバランスが悪い。ヴァイオリンの音が意外と弱い
という(1曲目では気づかなかった)ボロがこういう曲では直ぐに
露呈してしまう。
7小節目からのファゴットの音、大き過ぎる。
ホルンも楽章全般に「うるさすぎ」。
ホルンによるテーマでの強奏も「品が無い」。
と、まあ、最初の提示部での数分間だけでもこれだけ言うことが
できる。
後半のゲネラルパウゼ中にオーボエがソロを吹く有名な部分も
「<悲しみ>が全然出てきていない」。全く「非音楽的」。

第2楽章
6プルトに増えたチェロによる主題の演奏が(後の変奏も含めて)
良い音で立派。とても素敵な音。
でも、この楽章でもホルンがうるさい。
リヒャルト・シュトラウスじゃないんだから。
あと、ティンパニ、音、大き過ぎ。叩き過ぎ。

第3楽章以降もとりたてて「いいなあ」と思ったところは
特になし。
ティンパニさん、終楽章など、まるで「ティンパニ協奏曲」
みたいに叩いていたけど、いくらなんでも「やり過ぎ」。
弦を全て消していただけでなく、全体のアンサンブルを
相当「壊していた」。厳しくてゴメンナサイ。でも事実です。

終楽章=第4楽章を聴いていて思ったが、
「すごく元気の良いノリ」なので、このノリに至る感覚で
第1~第3楽章を演奏していたのだな、と感じた。
なるほど、終楽章で「一転して歓喜の爆発」に変わる曲想では
あるけれど、その分、第1楽章や第3楽章をもう少し考えて演奏
しなければ。あと木管も各パート魅力なし。

言うまでもないことだが、以上の奏者に向けた内容は
全て指揮者に帰する依拠されるべき言葉。
奏者の責任以上に指揮者の責任。

ベートーヴェンはやはり「手ごわい」。
「音を元気に響かせれば音楽になると思ったら大間違い」。
「こういう演奏は古典の演奏とは言わない」。

以前、早稲田大学交響楽団が素晴らしいラヴェルを演奏した後、
ヒドイ内容のブラームスの演奏をしたことを思い出した。
事情は似ていると思うが、理由は解らない。

若い人の間で、古典(的なフォルムの曲)の演奏を
全く理解していない、誤解している、ということかもしれないし、
そもそも「古典」の演奏経験が少ないということなのかも
しれない。
これは指導する「大人=先達者の責任」でもある。


さて、このように、派手に奏する点に個性があるオケだと判った
ので、後半の「春の祭典」は結構「やる」かもしれない、
面白いかもしれないな、と想像がついたし、
実際、なかなか良かった。

「春の祭典」の感想
第一部も第二部もそれぞれの後半の迫力ある部分が立派だった。
パーカス群全員が良かった。大太鼓もドラも全て。
ティンパニ2人のうち、メイン奏者は「運命」のときとは違う人で
むしろ、正確にして「丁寧でわりと温和な音」で叩いていた。
悪くはないのだが、「運命」のときにこのかたが叩き、
「春の祭典」では「運命」のときの奏者がメインで叩いたほうが
面白かったかもしれない。
でも「運命」でティンパニを叩いたかたによる「春の祭典」での
大太鼓はとても立派な演奏だった。

金管も立派。迫力十分で、「落ちる」こともまずなく、
安定して自信を持った演奏だった。

木管は「たくさん<ほころび>はあった」。
特に第一部と第二部それぞれの前半、いわば「序」の部分は
木管に「ほころび」がたくさん見えて(聞こえて)しまった。
難しい曲だからやむを得ない。
でも、第二部の「序」でのアルト・フルートなどはとても良い音で
素敵だった。

総じて、
「これくらいのレベルで演奏していただければ来た甲斐はあった」
という内容。
集中して熱心に難曲「春の祭典」に取り組んだ、ということが
よく伝わる演奏だった。
お疲れ様でした。

会場を出て、多くの皆さんがそうしているように、建設中の
「東京スカイツリーを写メで撮る」というワンパターン行為を
真似て、錦糸町を後にした。


追記
この日の「観客動員力」に驚いた。
すみだトリフォニーホールが本当に「冗談ではなくて満員」。
空席を探すのに苦労したほど。
毎回、このオケにこれだけのファンがいるかどうかは知らないが、
そうなのかもしれない。
老若男女、特にご年配の男女が多くて驚いた。
団員からしたら「祖父母の世代」の方々。それも
「義理で来ている、という感じはしなくて、皆さん楽しんで
 いらっしゃる」ようで、素敵だった。
そうした聴衆の「ワクワク感的パワー」にも驚かされた、
非常に印象的な演奏会だった。

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