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2010年9月 5日 (日)

アイリス フィルハーモニックオーケストラ

Iris Philharmonic Orchestra の第3回演奏会を
パルテノン多摩 大ホールで聴いた。
直接的にはチェロの遠藤真理さんによるドボルザークの協奏曲を
聴きたい、という気持ちがきっかけだったが、もう1つは、
演目の1つに(最初に)ベートーヴェンの序曲レオノーレ第3番が
あったということも強い関心を抱いた理由だ。
というのはこの序曲は最後の最後で弦楽器の「鬼門」が来るので、
アマチュア・オーケストラでは「フィデリオ」序曲はやっても、
レオノーレの特に第3番を演奏するオケはあまりないからだ。
指揮者とオケの積極的な姿勢を感じる。

プログラムによるとこのオーケストラは本日の指揮者でもある
中島章博(あきひろ)氏の呼びかけで2008年に結成された
とのこと。コンセプトとしては、若い優秀なソリストを招いたり、
若い作曲家の作品を演奏するなど、若い音楽家と接することで
自分たちも成長していく、ということがあるとのこと。
指揮者の中島氏は1981年生まれ。
早大理工学部から東大工学部の大学院修士課程を修了したが、
音楽をやりたいと思ったようで、2007年10月から
ザルツブルグのモーツァルテウム音楽大学に留学中とのこと。
指揮ぶりは、故・山田一雄さんが若いころはこういう感じだった
のではないかなあ、と想像するような、ある種「ぎこちない」
振り方で、まあ、勉強中だよなあ、というところ。
でも、オケとしてはとても難しい(はずの)
「協奏曲のアンサンブル=ソリストに付ける技術」は
なかなか立派だった。

曲は、
1.ベートーヴェン 序曲「レオノーレ」第3番
2.ドボルザーク チェロ協奏曲
3.ドボルザーク 交響曲第8番

まず、オーケストラは、フルートの1番奏者が素晴らしい。
技術といい音色といい響き渡る音量といい、アマオケ屈指の奏者
と言える。ちょうど3曲ともフルート・ソロが活躍する曲なので、
「この日の演奏会はこの奏者に魅せられたという1点に尽きる」
とさえ言えるほどだった。

では曲の感想

序曲「レオノーレ」第3番
先述のとおりフルート・ソロのほか、舞台裏でのトランペットの
ソロが素晴らしかった。アマオケにありがちな、「音のムラ」が
全く無く、安定した音の「粒」と安定した音程。
なお1回目のソロはソデの奥から、2回目はもっとステージに
近づいて、ほとんどステージに出る手前のソデで吹いていて、
その音量調整がよくできていた。
(ご存知のように、ここは「偉い人」の登場の場面なので、
 その演出は正しい)
先述のコーダでの「鬼門」である、第1ヴァイオリンから始まり
第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスと次々と
奏していき、音階的なパッセージが増して主題の強奏に入る
ところは失礼ながら想像を超えてとても良かった。
ただ、そこに入っていく直前、フルートのソロを受けて、
ヴァイオリンが弾く、その「レ、ソー、ファ」のソ=Gの音に関し
フルートとヴァイオリンのピッチが明らかに違っていた。
ヴァイオリンほうが低かった。
チューニングのミスなのか、あるいは指揮者の指示であえて
低めにとったのかもしれないが、それにしても「低すぎ」。
あんなに「わぁ、ピッチが全然違うな」と明確に判る演奏会は
珍しい。


ドボルザーク チェロ協奏曲
ソリストの遠藤真理さんは、2003年の日本音楽コンクール、
チェロ部門で優勝して以来、着実に活躍している奏者。
小柄なこともあってか、音量はあまりないが、「小粋な」と
いうべき個性的なニュアンスで魅了する奏者に思える。
例えばスービット・ピアノによる部分などデリケートにして
果敢な表現。
音はエレガントというよりセクシーといったら妙な表現
かもしれないが、要するに「小粋な」感じなのだ。
この有名な曲に対しても大曲としてのアプローチスタイル
というよりフレーズごとの特徴をよく考え抜いたフレージング
の妙で聴かせる。
情熱的なニュアンス、「攻め」の部分と弱音の対比が魅力的。
ことのほか第2楽章が印象的だったほか、終楽章も果敢な演奏で
聴衆を沸かせた。
なお、遠藤さんはアンコールとして、今、大河ドラマの
エンディングで彼女が演奏していることから、
「龍馬伝」のアレンジング曲を演奏した。

それにしてもブラームスの絶賛を引用するまでもなく、
なんて偉大で美しい曲なのだろう。
チェロの曲の王者だし、チェロのソロとオーケストラの組合せ
=協奏曲自体、ピアノやヴァイオリンとはまた違った
独特の姿をステージ上に現してくれるのが魅力だ。

この曲でも、フルートのソロが立派だった。
オーケストラ全体に関しては、協奏曲の演奏は難しいし、
特にアマチュアオケの場合はそうだが、第1楽章の冒頭が
ややそうした戸惑いを生じて進んで行ったものの、
第3楽章に至るまで、徐々にオケもよく合わせていけたと思う。


休憩後のドボルザーク 交響曲第8番
冒頭の旋律はもっとたっぷり歌って欲しい。
せかせか「ちかちま」し過ぎ。
トランペットはせっかく前半の2曲で良い演奏をしていたのに、
この曲では予想外に「崩れた」ことが残念。本当に残念。
木管では再三述べているように1番フルートが素晴らしいのだが、
それ以外のパートはいまいち。
金管もホルンがいまいちだし、弦楽器も特別魅力を感じるパートは
なく、全体としてやや甘い演奏。
楽章としては第3楽章が一番良かったように思う。
次いで第2楽章。でも第2楽章はもう少しゆったりとしたテンポで
やって欲しかった。これは第1楽章も同じ。


最後にもう一度、1番フルート奏者について。
3曲とも技術、音色、音量、申し分なく素晴らしい。
第8交響曲の終楽章では音域的に誰が吹いても音量の乏しくなる
旋律があり、さすがにそこはやや弱かったものの、
あとは申し分ない。
これほどのフルート奏者はアマチュア・オーケストラには
めったにいない。先日、オーケストラ ハモンの演奏会の
ところで書いた「自分がこれまで聴いたアマオケのベスト3」
としたオケを含めて、
この奏者ほど印象的なフルーティストはちょっと記憶にない。
この人なら、どこのアマチュア・オーケストラも
「欲しがる」だろうな、と思う。
これまで聴いた全てのアマチュア・オーケストラの中で
最も優秀で魅力的なフルーティストだ。


ホールの「パルテノン多摩」は初めて入った。
名前からのイメージどおり、大理石での内装がメインで、
最近の木目調のシックなホールが増えて来た中では
やや異質というか個性的。
1階席が奥に拡がるつくりで2階席はない。
1400名強の収容人員で、ステージも狭くはないが
決して広いわけではない。でも音響は良い。
特に管楽器は手に取るように聞こえて来る。
多摩センター駅はイメージ的には「遠い」と思うが、
新宿から急行に乗れれば35分くらいで多摩センター駅まで
行ける。そこからショッピングモールの中央の広い道を
真っ直ぐに5分ほど歩く。
確かに「パルテノン神殿に歩いて行く」という感じはする。

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