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2010年2月11日 (木)

びわ湖ホール声楽アンサンブル 東京公演Vol.3

1998年の、びわ湖ホール開館に伴い、その半年前に結成
されたという「びわ湖声楽アンサンブル」の、今回が3度目
となるという東京公演を「紀尾井ホール」で聴いた。
指揮は大ベテランの田中信昭さん。

男女8名ずつ、というか、ソプラノ、アルト、テノール、バスが
各4名からなる計16名の構成。
当初からそのようだ。もちろん各人、声楽のプロだ。

今回のプログラムは「日本語と音楽」と題されたもので、
前半が(以下、作曲者または編曲者のみ記載すると)

1.武満徹編曲による「さくら」
2.山田耕筰(林光編曲)「早春賦」
3.   同      「待ちぼうけ」
4.野平一郎編曲「ずいずいずっころばし」

と、小品が続いた後、前半最後が、有名な間宮芳生さんの
シリーズものである、
5.「合唱のためのコンポジション第1番」
この間宮さんの第1番は1958年のものだが、今聴いても
実に「新しい」と思えるのもので、欧州各地でも高く評価されて
いるだけのことはある。
日本民謡に語法やヒントを求めながらも、バルトーク的とも
思える斬新なリズムと和音、あるいはバルトークとは全く別種の
「音の揺れ」をふんだんに使いながらの見事な作品だ。
80歳でお元気な間宮さんは今、このシリーズは第17番まで
作曲している。

休憩後の後半は、その間宮さんの2008年の作品で、
紙芝居形式を伴う、
<「焼かれた魚」独唱・合唱とピアノのための>
という30分ほどの大曲。
間宮さんにしてはとてもシンプル。悪く言うと「平凡」かも
しれないが、その素朴な境地に行きついた氏の、淡々と、
しかし深く言葉を合わせて紡ぎだす「誠実な音楽」に
敬意を捧げずにはいられない。

なお、前後するが、進行は田中信昭さんがMCを交えての、
なごやかな、寛(くつろ)いだもので、平均年齢が高いと
見受けられる聴衆の雰囲気に合っていて、とても良かった。

「びわ湖声楽アンサンブル」は、オペラ公演の合唱部分や
配役の一端を担うことはもちろん、こうした独自の演奏会、
あるいは各地からの依頼演奏会のほか、地元 滋賀県の小学校
などへの訪問演奏等、様々な活動をされている。

最近は、こうした室内合唱団のようなかたち、あるいは、
男声4名のアンサンブル「ジェイド」とか、
田上知穂さんらの、男女2名ずつの「千駄ヶ谷スタイル」
という名のアンサンブル等々、様々な形態での声楽家による試み
が増えてきて興味深い。

ソロも大合唱ももちろんよいが、4名とか、こうした16名とかの
少人数での声楽アンサンブルも、演奏者側だけでなく、
聴衆にとっても、「新たな形態による音楽を楽しめる、
新しい発見、新しい可能性を見出し得る」という点で、
とても楽しく、意義深いものだと思う。

終わりに、以前も書いたが紀尾井ホールは本当に素敵なホールだ。
内装がシックで格調高い。でも気取ってはいなくて
気軽にくつろげる。
東京周辺の小ホールの中では、私はここが一番好き。
四ツ谷駅からだと問題ないが、麹町駅からだと、
上智大横の急勾配な坂を登るのは、中年にはチト キツイ、
ということはあるけれど。

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