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2009年11月29日 (日)

映画 「パリ・オペラ座のすべて」

人気の記録映画。劇場公開から1か月間に渋谷、文化村の
ル・シネマに2回行ったが、いずれも複数の上映時間枠が
どれも満員で、なかなか見れず、とぼとぼ帰宅したしだい
だったのだが、やっと見れた。

タイトルから華やかな内容を想像して来館した人はあるいは
ガッカリするかもしれない。また、オペラに関する内容がメイン
と想像して行った人もガッカリするかもしれない。
内容は残念ながらオペラは皆無。バレエのみ。
なので、バレエの関係者やファンは実に興味深く見るに違いない
のだが、バレエファンでも先述のように華やかな本ステージが
メインとなる画面を想像、期待して出かけた人には、
そういう点においてはやや期待外れだったかもしれない。
というのは、収められた映像の大半は舞台裏の内容。
物理的な舞台裏も映るが、メインはリハーサル、レッスン風景
なのだ。

男女2人ペアに対してだったり、集団に対するそれ。
指導者も複数体制。だから、その指導者同士がその場で議論に
なったりすることもあり、それがまたが面白い。
ダンサーも要所要所では率直な意見や感想を出しながら
進んでいく。
さすがフランス人、よくしゃべる。さすが、議論、言葉、
哲学の国。

レッスンの他のシーンでは、ちょっと見、口うるさそうな
おばちゃん、でも、温かくダンサーの相談に乗り、指摘、
アドバイスする芸術監督のブリジット・ルフェーヴルさんの
シーンが多い。この劇場の要、精神的支柱と言えるのだろう。

コーチ陣たちのミーティングでは、コンテンポラン=現代バレエ
のレッスンに若い人の参加人数が少ないことが話されている。
もっとも、映画に相当数出てくる、現代バレエのレッスンや
本ステージのシーンは実に興味深く、このオペラ座の奥深い、
幅広いレパートリー、出し物の多さを物語る。
演劇的な要素の多い「ベルナルダの家」や、
ギリシャ悲劇「王女メディア」を題材とした「メディアの夢」など。
こういうところこそ、世界一という自負をならしめている点かも
しれない。古典だけではないぞ、という自負。
なお、その「メディアの夢」では、映画の終わり近く、
デルフィーヌ・ムッサンが踊るというより演じる子殺しの場面が
凄い。

もちろん、クララ役=レティシア・プジョルが踊る
「くるみ割り人形」や現代のロマンティック・バレエ「パキータ」
をアニエス・ルテステュがリハで踊るシーンなども魅力的。
バレリーナ最高位のエトワールたちは古典も現代物も踊る。

経営者側が国と交渉していることを踏まえて、労働条件について
ダンサーたちに状況を説明している場面も出て来る。
ここのバレエ団員は国家公務員待遇。
ダンサーの定年は42歳だが、40歳から年金を受け取れる。
文化を重んじる伝統の国ならではだ。

エンドは特別な終わりかたは全くなく、あっけなく終わる。
いかにも昔、前衛的な芸術を生み出してきた国らしいと言えば
らしい。
休憩無しの2時間40分。
途中で疲れるかもしれないが、ラスト1時間はまた見物。

標題からは意外なほど、ある意味では「地味な記録映画」かも
しれない。しかし、極めて貴重な第一級の記録映画だと思う。

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