« 自殺考 その1 「週刊エコノミスト」の特集記事から | トップページ | 北岡伸一教授のコラムを読む楽しみ »

2009年10月 5日 (月)

自殺考 その2 上田紀行氏「社会の根幹を揺さぶる自殺」(日経新聞「今を読み解く」より)

9月13日(日)の日本経済新聞の「今を読み解く」という
書評欄に、相当大きな面を割いて、東京工業大学准教授の
上田紀行氏が「社会の根幹を揺さぶる自殺」、として主に2つの
本を紹介しながら、極めてヒューマンな立派な文を書いていて
(直接的には書評にもかかわらず)大変感銘を受けた。

本は1つが「自殺と向き合う」浅野弘毅・岡崎伸郎編
 (批評社;2009年刊)。もう1つが、
斎藤貴男著「強いられる死」(角川学芸出版;2009年刊)。

上田氏はまず、
「年間3万人という自殺者数が、1998年以来11年間連続して
 いるという、この悲しむべき事態の本質はどこにあるのか。
 そして私たちはどのように対処し、改善することができるの
 だろうか」、と問いかけてから、2冊を紹介している。
後者=斎藤氏の著書に関して、
「構造改革の名の下に導入された過酷な成果主義は労働者に
 過労を強い、上司のパワーハラスメントを正当化する。
 小中学生のいじめでもここまではしないと思える大人が行う
 個人的・集団的ないじめ状況で職場は地獄と化し、
 被害者はうつ病から自殺へと追い込まれていく。
 (中略)著者が(遺族たちにインタビューし、原稿を書く中)
 精神的に参ってしまい、(予定より少ない)7つの章で力尽きた
 というのも解る。読んでいくだけでこちらの胸も締め付けられ、
 「こんな社会に誰がしてしまったのか」と、
 心からの怒りが沸き起ってくる」、
と書いている。

また、上田氏は言う。
「私は5年前の構造改革絶頂期に、欧米仕様の過酷な
 評価システムを導入すれば、他人からの評価によって
 自己重要感を築いている日本人の心は破壊され尽くす
 だろう、と指摘した」、
と述べる。そして最後に、
「自殺問題は、単なる一分野の問題ではなく、日本社会の根幹に
 関わる問題だ。 生も死も全ては自己責任だとして
 自らの命を絶つ同朋を見捨てて、何の幸福があろうか。
 この問題の解決に全力を挙げること。それはこの国の真の世直し
 となるだろう」、と結んでいる。

この最後の部分、
「全ては自己責任だとして自らの命を絶つ同朋を見捨てて、
 何の幸福があろうか」、
という言葉に、深い感銘と共感を覚える。

あなたは、毎日自殺していく80~90人の我が国同胞に向かって
「自己責任。自分のせいでしょ」、と言えるだろうか?
もしそういう人がこの国にいるとしたら、こう問うてみたい。
「あなたはいつからそんなに「立派な日本人」になったの
 ですか? 1人(だけの力)で、偉くなったのですか?」、と。

« 自殺考 その1 「週刊エコノミスト」の特集記事から | トップページ | 北岡伸一教授のコラムを読む楽しみ »

ブログ HomePage

Amazon DVD

Amazon 本

最近のコメント

最近のトラックバック