« TVで見、聴いた 国立モスクワ合唱団 | トップページ | 自殺考 その2 上田紀行氏「社会の根幹を揺さぶる自殺」(日経新聞「今を読み解く」より) »

2009年10月 5日 (月)

自殺考 その1 「週刊エコノミスト」の特集記事から

1998年から昨年まで連続11年、この国における自殺者が
年間3万人を超え続けて来ていることは誰もが知っている。
残念ながら「連続記録」は今年も更新されるのだろう。

「週刊エコノミスト」の9月22日号は、第1特集としては
「キリン・サントリーで始まる大合併時代」という内容のもの
だが、もう1つが「自殺を止めろ」、とするもので、
経済ビジネス雑誌としては珍しい特集、極めて異色、異例、と
言えると思うが、それだけ経済立て直しにも関わる重要な事象
として、ようやくとらえられて来ていることの証でもあるとも
言えるだろう。
その中では、原因の分析、フィンランドやドイツの対策例の
紹介、日本でのA氏の例という具体的な事例の紹介などが
出ているが、文中に紹介されている統計グラフに如実に示されて
いるとおり、特に日本の場合は、
「失業率と自殺者数の増減がほとんど同じ曲線、酷似したグラフ
 を描いている」ということに驚き、慄然とする。
そして、NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」
代表の清水康之氏と社会学者(首都大学東京の教授の)
宮台真司氏の対談も掲載されていて、その中で
清水氏も、
「日本より貧しく、失業率が高い国で、日本よりも
 自殺率が低い国はたくさんある。
 不況が自殺と直結する日本の異常性は際立つ」と言い、
宮台氏も、
「1人当たりの国民総生産(GDP)が高いにもかかわらず、
 多くの国民が生活が幸せではないと答えるのは日本くらい。
 (今後)景気が回復すれば幸せになる、自殺が減る、という
 単純な構図ではない。今後、経済が回復しても、それが
 大きな犠牲の上に成り立っているとしたら何の意味もない」
と言っている。

06年の「自殺対策基本法」の施行は前進と言えそうだ。
清水氏は
「これにより、自殺が社会問題化された(点は大きい)。
 それ以前には「自殺は個人の問題か、社会の問題か」という
 不毛の議論があったが、この法律の成立で
 「社会問題なのだから手を打とう」という合意が生まれた。
 実態調査も進み、多くのデータも得られた。
 自治体も(予算化されて)個々に対策が練られ始めている」
という主旨の発言をしている。

宮台氏はあまり好きな論手ではないが、若者を中心とした現象、
とりわけ最近の犯罪や雇用問題や自殺の問題等に真剣に
積極的に考察している点は認める。
前記の清水氏の発言のように、
「自殺は個人の問題か、社会の問題か、という不毛の議論」は
これまでにあったろうし、今もたぶん存在するだろう。
「自殺は個人の問題」と冷徹に言う人もいるが、それは少なくとも
半分は間違いだと思う。こう言えばよいか、すなわち、
「自殺は「最終的」には個人に帰着するという「個人の問題」で
 あっても、少なくともそれ以前の段階においては、あるいは
 「本質的には」個人的な問題ではなく、社会的な問題である」
と。

「週刊エコノミスト」での記事ではないが、姜 尚中氏は
 こう言っている。
「問題は自殺者の高止まり状態を10年も放置してきたこと。
 もし、今後10年、こういう状況が続くとしたなら、
 その間の政治は全部失敗と判断してもいいと思う」。
  (勝間和代氏「まねる力」の中での対談)

民主党新政権に替わり、どういう変化が生じ、自殺者も減少に
転じるようになるか否か。民主党に課せられた課題は大きく重い。

« TVで見、聴いた 国立モスクワ合唱団 | トップページ | 自殺考 その2 上田紀行氏「社会の根幹を揺さぶる自殺」(日経新聞「今を読み解く」より) »

ブログ HomePage

Amazon DVD

Amazon 本

最近のコメント

最近のトラックバック