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2009年10月26日 (月)

良かった鳩山首相の所信表明演説

鳩山由紀夫総理大臣の所信表明演説に対して
「抽象的で具体性に欠ける」という人もいるが、そもそも
所信表明演説では具体論は主ではなく理念こそが大事。
その点でも相当クリアだったし、言われるほど具体論に欠けては
いない。なかなかクレバーな首相だと思う。

冒頭からして良い。先の衆議院選挙について、
「政治をなんとかしてくれないと困るという国民の声による
 政権交代。その意味では真の勝利者は国民」とし、議員に
「国民の願いを受け止めて実現していこではありませんか」
と呼びかける姿勢が良い。
政治主導を打ち出し、理念としても次のことに言及した。

【理念】としては次のものだが、相当に具体的でもあので、
【理念および具体論】としてもよいくらいだ。
1.戦後政治の大掃除
①組織事業の大掃除として、税金の無駄使いを徹底的に排除し、
 官僚の密約体質も排除する。
 地域主権への法的移行を強化、国家公務員の天下りや渡りの
 斡旋の禁止を含む国家公務委員制度の改革。
 これらにより国民参加によるオ-プンな政策決定を進める。
②税金の使い道と予算編成の在り方の変更、として、
 縦割り行政の垣根の排除、複数年度を視野に入れたもの、
 大規模な公共事業についてはその必要性の根本的な見直し。

【エピソードの挿入】が斬新。自民党の人ではこんなことは
できない。
1.青森に遊説に行った際、高齢の女性が、息子が仕事が
 見つからず自殺したことを告げられたことに触れ、
 毎年3万人を超える自殺者について
 「政治も行政もそのことに全く鈍感になっていた」と言及した点
 は大きい。これを押さえておく政治ということが重要で、
 そうでなかったこれまでの自民党政治とは根本的に
 今後の施行が異なってくると言えるからだ。
2.社名はもちろん出さなかったが、
 「日本でいちばん大切にしたい会社」(坂本光司 著)でも最初に
 紹介されている日本理化学工業(株)について触れ、
 障害者雇用と産業が実益を伴って50年の歴史を歩んでおり、
 あるご住職の言葉「人間の究極の幸せは4つ。愛されること。
 褒められること。役に立つこと。必要とされること」を紹介し、
 アインシュタインの言葉「人は他人のために存在する。
 何よりもまず、その人の笑顔や喜びがそのまま自分の幸せで
 ある人たちのために。そして、共感という絆(きずな)で結ばれて
 いる無数にいる見知らぬ人たちのために」により、
 その場面を締めくくっている。

1から敷衍(ふえん)して、【国民のいのちと生活を守る政治】
とし、本当の意味での国民主権の国というのは、まず何よりも
人の命を大切にする社会、政治にあるとする。
混乱した年金問題の解決、医療制度の改革(特に地域医療問題等)
介護制度の充実、高齢者を差別した後期高齢者制度の廃止、
「子育てや教育はもはや個人の問題だけではなくなり」
子供手当を含む制度の充実、母子家庭を差別した生活保護の
母子加算廃止を取りやめて復活させること、
「自立」の名の下に障害者を不利にした障害者自立支援法の廃止、
等々、「友愛政治を進める」。

【地域の絆】
経済格差のみならず、地域の「絆」も失われてきている。
昔を懐かしんでいるだけではダメで、新しい地域の共同体が
生まれるような環境を整備する。
【新しい公共】
すなわち、人と人とが支え合い、役に立ち合うという
「新しい公共」の創出。環境、福祉の1人1人が参加し、
社会全体で応援する新しい価値観を基とする。
1人1人が自立と共生の理念をはぐくみ発展させてこそ社会の
絆が再生し、信頼関係を取り戻せるからだ、とする。

『人間のための経済へ』
市場における自由な経済活動が社会の活力を生み、生活を豊かに
することは自明だが、市場に全てを任せ、強い者だけが生き残れば
よいという発想や、国民の暮らしを犠牲にしてでも経済合理性を
追求するという発想が成り立たないことも、もはや明らか。
「人間のための経済」への転換を提唱する。
自由な競争とともに、雇用や人材育成というセーフティネットを
整備し、食の安全や治安確保を含め、国民の暮らしを豊かにする
経済、そうした社会への転換を図る。

【経済・雇用危機の克服と安定した経済成長】
具体的には、中小企業への金融機関の貸しはがしや貸し渋り等を
是正するための法案を今国会に提出し、緊急雇用対策本部を
立ち上げて対策を急ぐ。
税制の見直し、「緑の産業」の育成、情報通信技術の利活用の
促進、真に必要なインフラの整備を図り、
【「地域主権」改革の断行】として、活気に満ちた地域社会を
創るための改革を行う。

『架け橋としての日本』
日本が、地球温暖化や核拡散問題、アフリカをはじめとする貧困
の問題など地球規模の課題の克服に向けて立ち上がり、
東洋と西洋、先進国と途上国、多様な文明の間の「架け橋」に
ならねばならない。こうした役割を積極的に果たしていく。
沖縄の問題、アフガニスタンやパキスタン等の支援、
核と拉致などの対北朝鮮問題、北方領土問題を解決し、
ロシアをアジア太平洋地域におけるパートナーと位置づけること。
中国、韓国、東南アジア諸国と、環境・災害・疾病対策の問題や
留学生の受け入れを含む文化面での協力と交流、
人材育成など「東アジア共同体構想」を進めていくことで
真の信頼関係を築いていく。

『結び』
アジアの近隣諸国からも信頼される日本。もし災害が生じた
場合は互いに助け合える関係を特にアジアで築く。
こんにちの「維新」は、官僚依存から国民へ大政奉還であり、
中央政権から地域・現場主義へ、島国から海洋国家への変革の
試み。今なら間に合う、とし、最後に、
「国民の皆様、議員の皆様、私たちの変革の挑戦にお力をお貸し
 ください。ぜひとも一緒に、新しい日本をつくっていこうでは
 ありませんか」と呼び掛けるかたちで終わっている点も良い。
自民党議員・大臣では「終始、有り得なかった演説」だ。

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