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2009年2月 9日 (月)

当然 使ってはならない言葉がある;ネット中傷問題と刑法および「対抗言論」等について

麻生総理の肩を持つ気はサラサラ無いが、民主党の前原副代表が
総理を「やるやる詐欺」と評したことは、やはり良くないこと
だったと思う。
麻生さんの反論を待つまでもなく、「詐欺」は「犯罪用語」、
「刑法罰の言葉」であるので、安易に使用すべきではない。
公人私人に係わらず、「使ってよい言葉とそうでない言葉」
というものは自ずとあり、常識的に判断して常に自ら注意、
自戒していなければならない、と思う。

先日、タレントのブログに、事実無根の中傷を書き込んだとして
男女18人が逮捕された。それも17歳から45歳の年齢幅、
居住地も全国バラバラで、互いに直接的には見ず知らずの
18人、というから、いかにも「現代」の状況を象徴している。

その他の例でも、日本においては、
①自分のホームページ内で、あるラーメン店について、
  悪口を書いたサラリーマンが名誉毀損で訴えられ、
  一審は無罪、二審で逆転有罪になったケースが最近
  あったし、また、
②首相官邸のホームページに、法務省幹部を殺害する予告
  書き込みをした大阪の大学生が逮捕された、というケース
  もあった。

また、韓国では、ネット中傷を苦にして、なんと、
①有名な女優が自殺してしまった、というショッキングな事例が
  あるし、
②掲示板で政府の経済政策を批判するだけでなく、虚偽情報を
  流布した、としてハンドルネーム「ミネルバ」氏が逮捕された、
ということが起きている。


このように昨今、掲示板やブログのコメント欄への「集団中傷」、
中傷メール、「きもい」などの言葉等による「ネットいじめ」、
デマゴークの流布等々が問題になっている。特徴として、
ある人への攻撃にしても応援にしても、「炎上」という言葉に
象徴されるように、不特定多数者による「煽り(あおり)」
(祭り、と呼ばれているそうだ)のカタチをとる誹謗中傷が増加
しているようだ。
とにかく、メールであれ、ブログ等への書き込みであれ、言葉で
いうと、「殺す」、「抹殺」という言葉、とにかく、「殺」という字を
意図的に、強迫的に使ったら最悪で、実際、この言葉の有無を
中心として、あるいはそれを連想させる言葉等の有無を基に
「犯罪」かそうでないかが判断され得ると言ってもよいようだ。

こうした「あぶない字」を用いた文がネットに飛び交っているか
どうかをチェックしている調査機関=企業等もあり、例えば、
ピットクルー社やガイアックス・リサーチ社などがそうで、
そのウェブサイト監視者が「不適切な書き込み」を監視している
とのこと。

論じる前に、まず、概念等を確認しておこう。

誹謗=他人をけなすこと
中傷=根拠も無く悪口を言うこと
名誉毀損=他人の名誉を傷つけ、精神的苦痛や損害を与えること

これらは当然、法規によってその概念だけでなく、罰則等も
定められている。
民法第710条では、慰謝料、精神的な損害の賠償。
民法第723条では、名誉を傷つけられた場合の損害賠償。
刑法第230条では、名誉毀損に関する処罰等。
刑法第231条では、侮辱に関する処罰等。
刑法第233条では、信用毀損・業務妨害、すなわち、嘘の噂を
    世間やその人の職場等に流し、信用を害したり、業務を
    妨害した場合の処罰等。
刑法第222条では、脅迫罪に関する処罰等。
というように。


しかし、逐一、刑法上、または民法上の争いまで発展させない
までも、何がしかの対抗措置、あるいは抗弁権による反論を
尊重し、それを根拠付ける次の2つの法規がある。

1.「ブロバイダ責任制限法」
刑法上の争いになる前、あるいはそこまで争う段階とは言えな
さそうな内容については、よく知られているように、
書かれた側が、そのブログやホームページ、掲示板等の
ブロバイダーに訴えると、内容によってブロバイダーの判断に
より、削除等の措置が採られることがある。
この根拠となる正式な法律名は大変長く、
「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び
 発信者情報の開示に関する法律」、と言い、一般には通称
「ブロバイダ責任制限法」と呼ばれている。
もちろん、訴え側の言い分を即受け入れたりはしないし、
そもそもブロバイダー独自で判断はしない。
相手側の言い分や、対処を見極めたうえで判断するのだ。

2.「対抗言論」について
もう1つ、これだけネットが当たり前の社会になると、私を含め
て、多くの人が、ある事象や事柄、対象について、真剣に
考えたものから、安易で軽薄な意見まで、レベルや思考の
深度の範囲が様々な意見が飛び交うし、場合によっては
結構キワドイ、すなわち、法的にひっかかるかどうか微妙な内容
を含めた言葉や意見が飛び交うことは容易に有り得る。
そういう状況で、逐一刑法上の争点とばかりになるのも現実的
でないとの判断からか、もっと実態レベルに則した、
1つの判断基準が存在する。

具体的には、ニフティサーブ現代思想フォーラム事件(通称
ニフティ訴訟)で論じられた概念、基準値で、「対抗言論」と
いうものだ。すなわち、まず教科書的に言うと、
「相手方からの言論等の表現活動によって自らの社会的評価が
 低下しかけた場合に、相手方に対して、
 「平等な立場で反論が可能」であれば、評価の低下を避ける
 べきに行うべきであるとされる表現活動」
という。少し判り難いが、
「ネットの特性である「相互に情報発信でき、対等に言論を応酬
 できる」という状況を条件に、抗議、反論ができるし、
 そうすべきである、とし、その反論により、名誉毀損を自ら
 回避できるもの」
を言う。要するに、
「同じ土俵で反論できるならば、何でもかんでもは名誉毀損には
 ならない。そうした抗弁の場所(ネット、雑誌等)や機会を
 有していない場合(対抗言論が機能しない場合)においては、
 犯罪構成要件の可能性を有する」ということであり、
言い換えると、
「ネット社会においては、意見が異なる者からの批判を受ける
 ことは当然に予想でき、多少の辛辣な表現も覚悟の範囲とも
 言えるので、対抗言論可能ならば、そこで反論をすればよい」
というものだ。
「何でもかんでも、即、名誉毀損や侮辱罪になるとは必ずしも
 限らないよ。自分のブログや出版ルート等、何らかの反論
 する場所があるのなら、そこで反論、反証すれば足りる、
 ということもあるでしょ」、というものと考えればよい。

いわば、刑法上の争点の手前で、侮辱や名誉毀損と、
表現・言論の自由との間において、調和、調整を図ったもの、
その概念、1つの判断基準値、と考えればよいと思う。


以前も理由を書いたことがあるが、私が、どうしてこのブログに
コメント受付欄を開かないかというと、全部が全部、真面目に
真剣に、真摯的に書き込んでくるわけではないだろうことが
容易に想像がつくからだ。
批判は当然かまわない。丁寧な、というか常識的な文面で
あれば、むしろ、意見を戦わせて収斂させたほうが、結果的
には互いに成長することも有り得よう。
しかし、こちらがそれなりに文を考えて書いているのに、
ちゃらちゃら、適当にその場の感情だけで書き込まれたものを
拝読しているほどヒマ人ではない。

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以下は書こうかどうか迷ったが、後日=来週には削除する、
という前提で=数日だけ置いておく、という前提書いてみる。
親しい人には、こんなこともあった、ということを、
少し知っておいていただいてもよいか、と思うので。

ご承知のように、私は場合によっては結構辛辣な、挑発的な
こともたまに書いてしまうこともあり、反省すべき内容の場合は
即修正等を行うなどもしている。
先述のとおり、自戒は重要で、くれぐれも自身を日頃より
処していなければならないと思っている。
何かを書く、ということは、それ自体、何人かの共感を得ることも
あれば何人かの反感を得ることもあり得るし、書くということ自体
そういうものだ。
批判を受けることが嫌な人は最初から書くことなどしてはならない。

実は、かく言う私は、私のある記述に関して、ある地方の、
一般的に、社会的には大変名誉ある、本来は尊敬されるべき
あろう立場の人から、先日、抗議メールをいただいた。
私のその文は、確かに、当初はいささか刺激的で失礼な表現を
用いており、数日後、早々に反省し、好ましくない単語や表現は
削除し、一般的な文章に変更し、今もその修正後の内容と
なっている。

その対象たる文章を書いた某氏からの抗議文が、通常の、
常識的な文面であればキチン謝罪し、場合によっては全文を削除
してもよいとも思ったのだが、なんと、あろうことか、
その抗議メールの内容、文面が、「この人、ヤーサン?」
と思うような下劣で下品で、侮辱と罵倒の言葉の連続であった
のだ。これには大変驚いた。
いや、下品とかいうレベルの問題では無く、要するに、前段で
刑法上のことを書いたから、お察しがつくと思うが、
「これは言っちゃダメでしょう」という「某単語」を使っていたのだ。

「お前のような無知で、無学の頭の悪い」という前置きの
オンパレードは、別に「まあ、そうだなあ」と笑ってもいられる
が、「この言葉を使うか?」と思う部分は、下品というレベルを
超えており、明らかに「刑法罰の構成要件に十分に該当する単語」
を使っていて、ハッキリ言えば「逮捕にも値する内容」だった。

それを読んだときは本当に驚き、まずその人のことを心配した。
「おいおい、どうして、あなた、自分の地位や職を失いかねない
 ようなことを書いてきたわけ?」
と、本当に驚いたのだ。
その次には私自身、本当に「身の危険」を感じたのも事実で、
さすがに笑って済ませるわけにはいかなくなったので、
不本意ながらやむをえず、その人が属する機関の最高責任者
宛に、その人からの全てのメールを添付して、
「親展、速達、配達証明付き郵便」にて猛烈な抗議文、謝罪要求文
を送付した。
既にその機関からは実質的な謝罪文としての回答書を得ている。

念のため、友人の弁護士にも相談したが、
「対抗言論を遥かに超えて、明らかに刑法上の○○に該当する」
との見解を得ている。また、その弁護士は、
「相手の地位を考えたとき、社会的な通念上は有り得ない言動
 なので、所属機関への通知や抗議だけでなく、所轄役所への
 報告に賛成しますし、場合によってはマスコミ等、広く公表
 してもいいと思いますよ」
とも言っていた。

その人の立場も尊重し、少なくともマスコミ云々は今のところ
止めているし、また、ブログにそのメールの全文公開することも
考えたが、それもしないでいる。

その某氏からの文中には、サラリーマンをバカにする記述も
あったが、サラリーマンといっても、様々な仕事があることを
ご存知無かったらしく、私の場合、幸か不幸か、
「法的な争いは最も得意とする分野」で、東京地裁にも
何度も行ったことがあるし、ある程度の内容なら、
弁護士や弁理士等の力を借りずとも、法的反論書を直接書いて
対応できる。
実際そうやって、会社が有している商標権等を守ったりしてきて
いるし、別にそんなことは自慢でも何でもなく、
「総務や法務畑を10年以上経験している人なら誰でもできること」
だし、できないとしたら、「ウソ(モグリ)」ということになって
しまう。

要するにその人は、結果的に、
「もっとも敵にしてはいけない職歴を持ったサラリーマン」を
相手にしてしまったことになる。
もちろん、私自身には「勝利意識」などはあろうはずも無く、
私にも反省すべき点はあると自覚し、今後の戒めとしたいと
思っている。

一応、親しい人に、ご報告まで。

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