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2009年1月24日 (土)

清張+正和+靖子=「疑惑」;迫真の名技

今年はハイドン没後200年、メンデルスゾーン生誕200年
などがクラシック音楽においては言える。
昨年はカラヤン生誕100年ということで、旧録音や未発売の
ライブ録音のCD等のほか、複数の日本人の著者による
彼に関する本が、特に新書から数種類出版された。
本については、なかなかよく書けているものから、
「挑発的なタイトルの割には中身が無いな、こんな内容、
 彼に興味がある人なら誰でもとっくに知っているよ」と
いう、低レベルの本まで、実に玉石混合といった感があった。
(いや、玉は皆無だったけど)

また前置きが長くなってしまった。
今年は日本の作家だと、松本清張さんと太宰治の生誕100年
とのこと。およそ、作風も辿った人生も正反対のような2人。
今、清張だけに「さん」を付けてしまったのは、やはり、我々の
世代においては、TVのインタビュー等で、生前の氏のあの
独特の風貌と話しぶりを知っている親しみからかもしれない。

その清張さん原作の「疑惑」が、田村正和さん演じる弁護士、
容疑者役に沢口靖子さん、という主役により、テレビ朝日で
放送された。
当初、古畑任三郎調だとイヤだな、と思ったのだが、
(いや、任三郎が嫌いなのではない、いつも見ていて
 楽しんでいたが、あれと同じ感じだと芸の幅に疑問を
 感じてしまうので、そういう意味で、イヤだなと思った)
その心配は杞憂だった。

落ち着いた中にも、実にシリアスな間合いで尋ね、語り、
真実に肉薄していく田村正和演じる弁護士は近年出色の
名演技だったと思うし、沢口靖子さんの、芸歴を感じさせる
「さすが」の巧さにも感心した。悪態ぶりと、奥に秘めた女の
深い情感や秘密を隠す心情が移ろう表情の見事さとともに
演じられていてこれまた出色の名演技だった。

原作を相当変えてはいたようだが、その入念に仕上げられた
セリフと、それに正に生きた生命を吹き込む役者との
トライアングル名人対決のような、名匠による彫刻され、
複雑で個々の人間の持つ弱さや強さや優しさや醜さが全て
埋め込まれた作品としての完成度の高さに拍手を送りたい。

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