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2009年1月13日 (火)

ケインズとドラッカーの碩学からの提言

「一般理論」というと、アインシュタインの「特殊相対性理論」
の対となる彼自身による「一般相対性理論」も連想はするが、
相対性が付かない場合は当然、ジョン・メイナード・ケインズの
「雇用・利子および貨幣の一般理論」を思い出すのが普通だろう。
しかし、私は、そのいずれについても明るくないので、ここでは
後者について、またまた「受け売り」を基本に書いてみたい。

後者を教科書的に言うなら、「それまでの経済学を批判し、
 働きたいのに働けない「非自発的失業」が生じ得ることを
 立証し、購買力に裏付けられた「有効需要の原理」に基づく
 新しい経済学を打ち立てた」ということだろう。

伊東光晴さんという、私が高校生のころから存じ上げている
京都大学名誉教授の、尊敬すべき人は現在もお元気で、
先般も朝日新聞に書いておられる文を読んだ。
(1月11日、「大不況 政府・企業がすべきことは?」)
以下その中から、ケインズならこの状況をどう考え、何を言うか
について伊東氏が語っていることを、そして後段は、
ドラッカーから全面的に信頼されていた研究家の上田惇生さん
による同様の言葉、提言をその中から拾ってみたい。


まず、伊東光晴さんによるケインズ思想を踏まえた発言、提言を。
「市場主義の投機が生んだ弊害、すなわち、投機が順調な経済の
 流れに乗った泡(あわ)なら害にはならないが、それが
 大きな渦(うず)を巻いて経済社会を飲み込む状況になった場合
 は「手に負えない」ものになる。今回が正にそう」

「ケインズは派遣労働などは想定していなかった。この制度は
 日本と韓国にしかない。派遣労働を政府が認めたことは、
 中間搾取を無くすという戦後の労働政策の原則を崩壊させた。
 政治と実業界が崩してしまった。
 「国際競争が大変だ」とか「コストを下げる必要がある」などと
 グローバル化を理由としたが、それなら、世界中が派遣制度を
 導入しているはずです」

「規制緩和がこんな事態を生じさせた。「派遣切り」された人達
 や失業者に対して生活保護に相当する額、例えば
 月12万円を渡してはいかがでしょうか。
 100万人換算で、年に約1兆5千万円。ばらまきの
 定額給付金をやめれば実現できます。
 だから月10万円の派遣労働なんかには行くな、と。
 そうして派遣をやめさせていきます。
 そうした市場経済の「ゆがみ」が集中している高齢者、
 失業者、貧しい母子家庭などに対する対策を講じるため、
 消費税を上げることも含めて、広く集めた税でそうした
 恵まれない人達に支出するのです。
 取ることによって所得再分配をはかるだけでなく、
 出すことによって安定した社会をつくるのです」


次に、ピーター・ドラッカー研究の第一人者、上田惇生さんによる
ドラッカーならこんにちの事態をどう考えるか、どうしたらよいか、
についての発言、提言。

「今、企業において必要なものはマーケティグ(顧客の創造)、
 イノベーション(技術革新)、生産性の向上を図ること。
 生産性が上がれば午後3時に仕事が終わるかもしれない。
 そうしたら、経営セミナーやIT関連の教育などにより社員の
 能力を高める。
 人員削減ではなく、労働時間の削減をする。
 首切りは社会不安を惹き起す。
 企業は人を路頭に迷わせてはいけない」

「ドラッカーは日本で「派遣切り」なんてことが起きることは
 夢にも思わなかったに違いない。
 日本は、働く人それぞれの能力を発揮してもらうという
 本来の趣旨から外れた使い方を労働者に強いてしまった」

「ドラッカーは、会社は社会の公器であり企業と企業家が
 尊敬さえる社会を理想と考えた。今、多くの企業(特に大会社)
 は、「企業の目的は利潤の極大化」と考えているようだが、
 「利益は今日事業を行い、明日さらに良い事業を行うための
 条件」と考えるべきだ。
 利潤自体を目的のように考えてしまうから、経営者が間違え、
 社員が間違えてしまう。
 だから「金儲けがなぜ悪い」と開き直ったり、
 「派遣依存の体質を創り出したり」してしまう。
 企業の存在理由は「世のため、人のため」です」

「ドラッカーは、かつて日本企業を高く評価していた。
 それは、日本企業の競争力は企業が人を大事にするところに
 在る、と見ていたからです。組織の良し悪しは共同体になって
 いるか、生きた有機体になっているか否かがカギだと
 考えていたからです。でも今の日本を見たら、
 彼は「日本よ、お前もか」と嘆くでしょうね」

「非正規雇用者をすぐに寮から出してしまわないと会社が
 倒産するのか?内部留保も無いのか?
 かつて日本の企業は再就職さえ世話をしていた。
 社長は新入社員時代の気持ちを思い出せ、
 創業者には創業時の志を思い出せ、と、
 彼はそう言うでしょうね」

「企業も自治体もきめ細かく対策を行っていくことが肝要。
 不況に対して財政支出を増やすことは、病気の男の子
 に対して、女の子と付き合えば元気になるよ、と言うに
 等しい(効果無い=気やすめにすぎない)。
 良いときは更に良くなると思い、悪いときはもっと悪くなると
 思いがちだが、いずれも終わるときは来る。
 ドラッカーが我々に忠告したいことは、
 「社会を壊すようなことをするな。重要なのは人であり、
 社会なのだから」、ということです」

以上、ケインズ、ドラッカーという、いずれも偉大な論考者で
あり、また、その2人の思想、思考の真髄を研究してきた
日本の碩学による言葉だけに、示唆に富んだ実に素晴らしい
提言、言葉だと思う。

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