世界の歌曲・民謡シリーズその3 「元禄名槍譜 俵星玄蕃」
今は亡き三波春夫さんの代表的な歌の1つ。
これを「Jポップスシリーズ」で書くのもさすがにどうかと
思ったので、標記のタイトルシリーズに入れた。
これは昔、父親がレコードで聞いていたのを思い出す。
私が未だ小学校に入る前くらいの話だが。
だから、この「大人向け」の曲は、今の若い人はもちろん、
40歳代の人が中学生のころでも「昔の歌」であったはずで、
そういう意味においては、60歳以上の人にしか「ピンと」
来ない曲かもしれないが、そうした理由で、まだ60には
全く至っていない私にも、意外と「馴染んでいた曲」だし、
あらためて聴くと、これは構成的にも凄く立派な、
一種のオペラのアリアのような壮大な内容を持つもので
あることに感心する。
12月14日は、赤穂浪士の討ち入りの日でもあることから、
今回取りあげたい。
作詞=北村桃児、作曲および編曲=長津義司。
構成が巨大で一大叙事詩風。アリア的、と言ったのはそういう
意味である。レスタティーボを伴うアリアと比べられる、
日本の歌としては異例の曲構成だ。
副題で「長篇歌謡浪曲」とあるくらいで、この曲を歌い終わる
までには、実に8分30秒かかる。
正式な番数をうっている歌としては1~3番の3曲なのだが、
1番と2番の歌と3番の間に次の要素が入る。
A=浪花節から始まるが実質的な歌といえる部分
B=語り=この曲のもっとも聞かせどころの部分
C=A同様、浪花節調から始まるが直ぐに歌といえる内容に
変わる。ここもBに勝るかもしれない、聞かせどころでも
ある。
整理すると、
1=1番の歌詞歌唱
2=2番の歌詞歌唱
A=「涙をためて振り返る」と「浪花節」で始まるが、途中から
完全に歌に変わる
B=語りが入る。
「時に元禄十五年十二月十四日、江戸の夜風をふるわせて
響くは山鹿流の陣太鼓」から始まり、「白雪を蹴立てて
行手は松坂町」。圧巻の名調子。
C=「吉良の」と、浪花節調で始まるが、直ぐに歌い調に
変わり、特に、
「折しも一人の浪士が雪を蹴立てて、サク、サク、
サーク、サーク、サーク、サーク、「先生」、
「おお、そば屋かあ~」
のところは有名だし、圧巻だ。そして、
3=3番の歌詞歌唱
となるが、先述のとおり、AとCは歌とも言えるので、5曲の
間に名人芸=名調子であるBが入る、という壮大な構成と
言葉による討ち入り場面のドラマ歌謡となっているのだ。
もちろんCD化されて販売されているが、三波さんが亡くなる
2年前の1999年の紅白歌合戦でのこの曲の歌唱は正に
「絶唱」で、伴奏に(特に3番などは)遅れるような「老い」も
あったが、それゆえか、懸命に歌っている姿は本当に印象的で
感動的だった。
こういう歌を歌える人、歌おうと思う人は恐らく今後は出ないで
あろうから、真に稀有な歌手であったと言うことができると
思う。

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