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2008年6月19日 (木)

桜桃忌 情死と現代

私は太宰治に詳しいわけでも何でもない。少ししかない読書
体験の中でも、この人は「書き出し」が印象的なものが多い。
小学生でも読む、「走れメロス」の冒頭も(内容も)有名だが、
「女生徒」の出だしも、内容も面白い。

今どきの女流作家でも、多感な時期の少女の微妙な感情の
機微をこれほど巧い文体で書ける人は多分ほとんどいないので
はないか?

以前、比較的大手金融機関にいたとき、7人の総務部長に
仕えたが、自分の中で唯一の「師匠」と思っている、普段物静か
だが大変な博識のS部長が、ボソリと呟いたことがあった。
「今日は、6月19日か・・・・。何の日か知っているよね?」
「えっ?・・・ああ、桜桃忌ですね」
「うん」

会話はこれだけ。でも、これで2人が少なくとも多少は太宰を
読んでいることは判ったわけだ。
あのころは、(昭和ヒトケタか、10~15年くらいの人の中には)
仕事だけでなく、知的で文化的なエッセンスを感じさせてくれる
人が結構多くいた。
今、そういう人が、どんどん減っているように思う。
特に、若い人にはそれを全く感じさせてくれない人が多いように
思えるのは淋しいことだ。
この国の教育に問題があるのか、ネット社会の「弊害の1つ」
なのかは、判らないが。


太宰は「情死」したわけだが、新聞によると、日本での自殺者が
1998年から10年連続で、年間30,000人を超えている、という。
これはどう考えても「異常」な事態だ。
2007年は、1日に日本のどこかで約90人が自殺していることに
なる。1時間の中では、3人から4人近く、ということだ。

こんな国家が、将来これまで以上に栄えていくわけはないと思う。
今、自分の状況が恵まれている役人や経済界のハイポジション
の人達こそ、「自分の状況を超えて、自分のことは一旦「置いて」
真剣にこうしたことが生じる状況を考察して、改善していく提言と
実行をすべき」だ。

私は、というか、多分、人間は、
「金持ち自体」に対しては全く「尊敬などしない」はずである。
その金をどう使ったか(もちろん、お金だけでなないが)によって、
その人の「尊敬に値するか否かの価値」が決まってくるのだろう。

「桜桃忌」から随分、話題が逸れてしまった。
太宰のように、「情死」できるヤツ、あるいはそういう時代、という
ものは、ある意味では、今日の社会(かつて、三島由紀夫が
言った、「今後到来するであろう(そして本当にそうなったところ
の)「ニュートラルで面白くもなんともない社会」)よりは、
「ましな」時代、社会だったのかもしれない。

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