« 証券取引等監視委員会と労働基準監督署 | トップページ | バレーボールいよいよ開始 »

2008年5月16日 (金)

内部統制 3題 その3 監査報酬のアップ要求に異議有り

内部統制システムにおいて、「本家」アメリカのそれと、この4月
から始まった日本における「決定的な違い」は何か?
1つだけあげるとしたら、「ダイレクト・レポーティグ制の有無」、
という、この1点に尽きる。

すなわち、米国では、監査法人が「直接」、企業の内部j統制
システム、すなわちコンプライアンスに準拠した財務報告の
正確性、正当性を確保するための、企業としての組織設計に
ついて、その「構築」を手がけ、運営を指導し、監査も実行する
という体制を採用している。要するに、全て監査法人が
会社の内部に入って構築しているわけだ。
これを「ダイレクト・レポーティング制」という。

これに対して、この、2008年4月より日本の上場企業に求め
られるべくスタートした制度は、(08年3月までは実質色々と
アドバイスを「期間有料それも高額」を支払って得た企業は多い
と想像できるにしても)、とにかく、この新年度からは、
「構築、整備して適切に運用」させるべく作業しているのは
 各会社自身」、であり、そしてそれが、
「適切に整備・運用されていることを、まず第一義的に調査し、
 不都合部分=改善必要部分を指摘して改善させ、
 まず最初にその企業に合格点を出すのは、それぞれの
 その会社内の内部監査室=内部監査人である」、のだ。

要するに、社内の財務、経営企画、総務、IT部門、等々が連携、
協力して、「構築・整備体制を作り」、それを内部監査チームが
「全てを理解し、把握し、確認」した後、
「監査法人になり替わって」徹底的に「ダメ出し」をして改善させ、
OKあるいはOKではありません、の判断をする。

そしてもちろん、監査役(会)が確認し、最終的には、それを
代表取締役社長が「OK」を確認し、保証する書類である
「内部統制報告書」に署名をする、というかたちをとる。

そして、この「内部統制報告書」に基づき、最終監査人である
外部監査人、すなわち監査法人が最終的にこの報告書に
ウソ偽りは確かに無い=内部統制は全て有効である、あるいは
一部有効(一部不備)、もしくは「全然ダメ」を確認して、
その旨の「内部統制監査報告書」を作成し、金融庁に提出する
という流れになる。


したがって、極論すれば、監査法人の内部統制に関する
「仕事」というものは、その「会社自身が行った」ものを、
「ああ、大丈夫ですね」と「最終的に」確認する「だけ」、のこと
なのだ。

もちろん、「だけ」といっても、それは結構大変なことで、
これまでの通常の会計監査以外にある程度、時間=工数を
かけざるを得ないことはもちろん確かだ。
したがって、従来の各企業に対する監査法人の報酬請求が
「多少、あるいはある程度なら」増額されてもやむを得ない面は
確かにある。


しかし、聞くところによりと、いわゆる大手の監査法人、
T社、S社、A社などは、「いっせいに、ここぞとばかりに」
それぞれが請け負っている各上場会社に、今年の監査報酬
増額の見積書を提示してきているようだ。
それも、昨年度を100とすると、(請負先の会社の「状態」にも
よるにしても、平均して)、T社とS社は130~140前後、
A社は何故か最も強気で、170~200くらいのレンジで
増額提示してきているようだ。

だから、今、企業各社は、そうした監査法人との間で、
「激烈な賃金交渉」をしているはずである。


どこの監査法人も「強気」なのは、監査法人(公認会計士)の
数自体(絶対数)が全国的に不足しているから、
「そう簡単に替えられない」という思惑からだ。

だが、「そいつは甘いぜ」。

現に、「じゃ、おたくとは来年からは取引をやめて、他の
    監査法人に替えます」、
と既に「変更=交代」を決定した会社を、私は、直接&間接、
数社知っているし、先日=4月23日の日経新聞に、相当大きな
スペースを割いて、「企業、報酬増額を警戒」というタイトルで
記事が出ていたし、その中でも、「高額見積もり要求」に反発
して、監査法人を変更した会社が実名で出ていた。


先述の「ダイレクト・レポーティング制」を採ったアメリカでは、
当然ならが監査法人による報酬増額度合いが「もの凄いこと」
になったようで(前年度額の2~3倍以上)、企業における
そうした「混乱」を避けることもあっての「ダイレクト・レポーティング
制 不採用」を日本の金融庁は決定したはずである。

負けるな、日本企業の交渉人の皆さん。

« 証券取引等監視委員会と労働基準監督署 | トップページ | バレーボールいよいよ開始 »

ブログ HomePage

Amazon DVD

Amazon 本

最近のコメント

最近のトラックバック