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2007年9月26日 (水)

立派な熱い意見に賛同する

以前、東京株式懇話会の概略は書いたことがあるので今回は
それは省略する。部会での株式実務の勉強会は、企業間共通の
様々な問題をテーマを設け、良い雰囲気の中で勉強会が進められて
いく。
この日、ある問題に関して、大手百貨店の法務のA氏が研究内容を
述べたのち、「最後に、ちょっと個人的な見解ですが・・・」として、
次のような主旨の発言をされた。

「我々は株主総会の招集通知の記載上の問題の勉強をしてきたが、
 昨今、法律の改正もあって、開示する分量が増大しただけでなく、
 内容が非常に専門的になっている。ちょっと、「専門的過ぎる」とも
 言えるわけで、はたして、それを受け取る株主、投資家で、
 内容を十分理解できている人はどれだけいるのだろうか?
 例えば、配当金関係が「利益剰余金」という言葉に替わって構成
 されたり、あるいは、「圧縮積立金がどうのこうの・・・」、と言われ
 たって、財務・経理や経営を学んだ人ならともかく、そうそう理解は
 できないはずである。我々がもし、招集通知を本来の主旨、
 すなわち、株主や投資家に、会社のことをもっと知っていただく、
 ファンとなっていただく、という主旨から開示、提示していくとしたら、
 そういう点をこれからもっと考えて、もっと工夫していく必要も
 あるのではないか?」

普段、クールな法律論を展開するA氏だが、珍しく「情」というか、
事の本質論に言及されたもので、私は(いや、その場にいた多分
ほとんどの人は)「そうだなあ・・」と感心、賛同したと思うし、
私などはちょっと「感動」したりもした。
こういう勉強会で、「感動する」ということはまず無いから、極めて
印象的な、そして本質を突いた立派な意見だったと思う。

近年、コンプライアンス経営、透明性、開示の厳格化が、株式市場の
開放と一般株主(or投資家)の増大と相まって企業に求められている
のは当然ではあるが、同時に、開示内容の専門的な語彙とその
構成範囲の複雑化、細分化等も増大してきているのも事実で、
機関投資家(生損保や商社等の株式部門等、法人のプロ投資組織
など)は別として一般個人(特に言葉は適当でないが、いわゆる
「にわか」)の投資家にしたら、氏の言葉どおり、よほど昔から株式、
経済、企業などについて勉強されてきたか、財務や経営学を
学んだ人でもないかぎりは、そうそう専門資料(有価証券報告書等)
を読みこなせるものではないことは明白である。
それでも、企業は法令等に沿って開示していかねばならないのも
また事実であるが、「(書類が)解らない人は投資するな」と言うもの
妙だし、自己責任で勉強しろ、と突っぱねることにも大きな違和感を
感じるのは、企業の多くの関係者も同じであろう。
もちろん、投資は基本的には「自己責任」に他ならない行為では
あるが。こうした、ある種の「矛盾」、あるいは「アンビバレンス」を
現場の人間で感じていない人はいないはずである。

今回の氏の言葉に、日本の全ての上場会社の役員、
社員の誰一人として、好ましい回答=改善策を持っていない、
というのが現状だと思う。

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