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2006年11月 6日 (月)

宝物のような映像 ベーム=ウィーンフィル来日時のDVD3種

NHKクラシカルシリーズとして、ベームとウィーンフィルが来日した1975年3月、1977年3月、そして最後の来日の1980年10月のときのライブ映像3種のDVDが出た。
「またベームのDVDについて書くの?」と思わないでいただきたい。これはもうほとんど宝物と言ってもよいものなのだ。
もっとも1本5,000円近く(1975年は7,000円以上)する高価なものなので、取り急ぎまず1977年のベートーヴェンの田園、第5(というか運命)、アンコールとして演奏された「レオノーレ序曲第3番」の3曲が収められたものを買った。

その前に、1975年のブラームス第1交響曲は語り草的な名演で、数年前にNHKで懐かしの名演として放映されたので、ご覧になられた人も多いだろう。私もビデオ録画をとってある。終楽章のエンディングの燃えたぎるようなうねりや和音の正確な心のハーモニーのお手本のような充実したアンアサンブルは驚異だった。
また、そのときだか別のときだか、インタビューやストラビンスキーの「火の鳥」のリハーサルも録画してある。あのリハも「すごい」もので、天下の名門オケもベームにとっては「子供たち」にすぎず、先生が生徒をシゴクがごとくの唖然とするリハだった。
今回発売された1975年のDVDはあの「ブラ1」のほかに、「未完成」やヨハン・シュトラウスのいくつかのワルツがあるので、やはりそのうち購入すると思う。

1980年のベートーヴェンの第2と第7については、実は「第7」はもう10年くらい前に友人からダビングしてもらって保有しているので迷うところ。
あの「7番」には有名なエピソードがある。リハーサルのときにホルン奏者がいつものヘーグナーさんらではないことに気づいたマエストロ・ベーム氏は「どうした?」とオケに問うたところ、コンマスのヘッツェルさんらが、「若い人にマエストロのステージを経験させてあげたいので」と懇願したのでベームは承諾したが、マエストロの危惧どおり、第1楽章の終り近く399小節のホルン2本が3度(5度、6度)和音で吹くところでものの見事に「割れて」しまったのだ。
あのとき、ベーム氏は(本番中に!)怒った顔となり、一瞬、指揮棒を下ろしてしまった(指揮するのをやめたのだ!)。
本番中ですよ!リハではありません!ご覧になりたい方はぜひ、
まずこの1980年の第7のDVDを購入してご覧ください。


さて、話を最初に戻そう。「田園」は本当に素晴らしい。特に第2楽章は絶品だ。CDもそうだった。それから、あのころはまだ私はヴァイオリンを始めていなかったので解らなかったが、今あらためて見ると、
ボーイングが独特で、この曲に限らず、ウィーンフィルのボーイングはプロオケの中でもとてもユニークなものであることに気づく。
具体的に言うと、他のオケなら、1小節間を上下に弓を動かすであろうフレージングも、ウィーンフィルはアップだけとかダウンだけとか、
ワンボーイングで奏するところが多い。必然的にレガートが強調されるが、技術的には非常に難しく、アマチュアはもちろん、プロでもそういう「危険」は避けることが多い。でもこのオケはやる。
抜群の名手ヘッツェルさんの指導センスが良いのだろう。技術的に巧くてもボーイングセンスの無い人や音楽的に「平凡」な人は(特にアマチュアには)案外多いものだ。(本人だけは気づいていないかもしれないが)。
このDVDのこの曲では、特に第1、2、5楽章にその独特なボーイングが見てとれる。

それにしても、1stヴァイオリントップにヘッツェルさんとキュッヘルさん、2ndトップにヒューブナーさん、ビオラトップにシュトレンクさん、
ホルンにヘーグナーさんといったあの時代、日本でもお馴染みの名手が揃っているのが懐かしい。
第5「運命」も気力充実した演奏だ。カルロス・クライバーなら違うアプローチをするだろう。でもこうした堂々たる構成力のある演奏はすこぶる魅力的である。お薦めのDVDだ。

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