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2006年10月 2日 (月)

サントリーホール20周年に寄せて

この10月はサントリーホール開館20周年にあたる。こけら落としは
サヴァリッシュ=N響の第9だったはずで、故・佐治敬三さんもコーラスの団員として歌ったことでも話題になった。あのときのソプラノ・ソロはルチア・ポップさんだったはずで、ポップさんのライブを聴けなかったのは一生の不覚だ。93年の急逝は前年のウィーンフィルのコンマス、ゲルハルト・ヘッツェルさんの急逝とともに大きな衝撃だった。

さて、実は20年前の開館から遡ること半年、実は私は(いや私たち関係者は)一足先にホール内に入っているのみならず、そこで「歌って」いる。マーラーの「千人」のリハーサルを行ったのだが、ホール側としては音響効果実験を行うという思惑と、演奏側のリハ会場探しということがうまくかち合ったということだろう。
いきさつはこうだ。アマチュア・オーケストラの最高峰(と言ってよいだろう)、新交響楽団が、当時、故・山田一雄さんとマーラーの交響曲のチクルスをやっていて、私も2番、7番、9番は拝聴していたが、8番「千人の交響曲」はコーラスの一員として私も乗せていただいたのだった。第1コーラスはアマ合唱団の中でもこれまた有名な武蔵野合唱団(小林研一郎さんが育ててきた団)。第2が公募だったので応募したしだい。私が普段所属する大学OBオケを半年休んだのは後にも先にもこのときだけだ。「千人」の合唱で出る機会なんてそうメッタやたらあるわけはないので、勇んで応募したのだった。
本番ステージは1986年4月東京文化会館。それに先立っての練習は、3つ(団体)の児童合唱団、前述の武蔵野合唱団と公募のわれわれは、当然それぞれ別に行ってきていたが、最後の3週間くらいの間に3回合同リハが組まれた。最初の1回目はナント3月23日(祝日なのでよく覚えている)にもかかわらず東京は大雪。これで中止。
結果的にはあれはやはり痛かった。それが判ったのは次の(事実上初の)合同リハが行われた立教大学の講堂でのヒトコマ。「千人」の児童合唱は旋律そのものよりも、どこで出るか、という点で曲を完全に把握していないと「大人だって出が難しい」と言えるくらい大変なのだが、案の定何回か出が揃わず、ヤマカズさんは機嫌を悪くしてしまった。でもしょうがない。児童に最初からあの曲で完璧を求めるのはムリというものだ。ヤマカズさんは自分が天才なので、人にそれを求めてしまった。あまりそういうことはしない人だと思うがあのときは日数が迫っていたので、さしもの山田先生も焦せられたようだった。
そんなこともあった後日、本番前日のリハだったと思うが、思いもかけず未だ未完成のサントリーホールに入ることになり、そこでリハが行われたのだった。事情は知らないが、さすが新響だなと思った。
中央のパイプオルガンは未だ取り付けられていなかったし、客席の
レイアウトというか装飾も未だ道半ば、という印象だった。
プロ・アマを問わず、未だ誰も演奏していない、そして後年次々とたくさんの名演奏が繰り広げられていったホールということを思うと、なんとも不思議な印象を抱く。(もちろん優越感などどいうバカげた感想を言う気はない)

オープン後はカラヤンをはじめ、多くの音楽家によるコンサートが開かれてきていることは言うまでもない。むしろ、読んでいただいている皆様のほうがよほどたくさんお聴きになられているのではないかと思う。私はサラリーマンということもあるのか、社会人になってどんどん演奏会に足を運ぶ数が減っていったし、特にサントリーホールにはそれほど多く行っていないのは残念な限りだ。ここ数年は会場を問わず、なるべく足を運ぶようにはしている。

ホール自体が確かに素敵だ。音響も良い。ただ、座席によって随分印象が異なるということは多くの人が言っているし、私の少ない経験からもそれは感じた。
それから卑近な話だが(でも大事なことだが)トイレがごく普通、というか建設時あまり大事に考えられていなかったような印象だ。収容人数に対する数も少ないと思う(両サイドにあってしかるべし)。
昨今、百貨店をはじめオフィスビル、公共施設等、トイレを美しくすることがトレンドになっているが、20年前はこんなものだったのかもしない。

最後に、マーちゃん、と呼ばれた名ステージマネージャーのこと。本を読むまで知らなかったが、小澤征爾さん、故・岩城宏之さん、故・武満徹さんら多くの音楽家から愛され認められたステマネ、宮崎隆男さんが2001年に上梓した、「マエストロ、時間です」はたいへん楽しく、参考になること盛りだくさんのステキな本なので、ここにご紹介し、このタイトルのエンドとします。

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