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2006年8月 4日 (金)

長谷川陽子さんの新しいアルバム「初恋」について

チェロの長谷川陽子さんの新しいアルバム、
「初恋~チェロによる 日本の旋律」が出た。
ただ、その前に、数ヶ月前に出たトリオの盤について。
ピアノのパスカル・ロジェ氏、ヴァイオリンの小林美恵さん、
そして陽子さんによる、ラベルとショーソンのピアノ三重奏曲の
アルバムが半年ほど前に出た。
3人の名人芸のすさまじいソロ能力と合奏能力が堪能でき、
すこぶる感動的である。
これぞ室内楽の醍醐味、特に名人同士のぶつかり合いと
言われるトリオの真骨頂と言えよう。

さて、今回の「初恋」
この種のアルバムはともすると「ありがち」と思われて
キチンと聴かれない、あるいは評価されないという傾向が
無きにしも在らずだが、この盤は本当に素晴らしい。
「いやし」という言葉は昨今使い古されているし、
そんな一言では済ましたくないので使わないが、とにかく、
旅先でも自宅でもよいから、くつろいで聴ける、あるいは
聴いていて本当にくつろげるという素晴らしい演奏、アルバム
なのだ。
全20曲収められているので、簡単にコメントを記す。

1.「浜辺の歌」
  この曲を冒頭にもってきて正解。聴いていて自然と体(頭)を
  左右にゆすってしまう。

2.「からたちの花」
  出だしのピアノもステキ。チェロはしっとりと歌い、
  カデンツァ風のアレンジが中年男性の心情を表しているかの
  ようだ。

3.「早春賦」
  1.同様、楽しんで聴ける。

4.「初恋」
  アルバムのタイトルでもある。しっとりとしたチェロの音色に
  あなたは何を聴くだろうか。

5.「朧月夜」
  むしろ晴れた陽だまりの花畑を連想する爽やかさだ。

6.「翼」
  武満徹の合唱曲は本当に素晴らしい。
  私は「小さな空」が一番好きだが、この「翼」も素敵だ。
  陽子さんもこのアレンジを気に入ったことがコメントとして
  付されている。重音を多用し、一見、旋律が判りにくい感じも
  するが、ジャズを愛した自由人だったタケミツのイメージに
  合うアレンジだと思う。

7.「涙そうそう」
  波の音を効果音として使用していて、とても心地良い。

8.「夏は来ぬ」
  快活な演奏

9.「花」
  ついいっしょに口ずさんでしまう。
  中学の時の合唱祭を思い出す。

10.「椰子の実」
  まるでチェロのために書かれた曲のように思えるくらい、
  伸びやかな演奏だ。

11.「夏の思い出」
  まどろみの優しさ、とでも言うのだろうか。

12.「里の秋」
  鳥のさえずりを効果音としているのだが、
  これが実に素晴らしい。さえずりをバックに無伴奏チェロが
  歌う。短いのが残念。もっと何回も繰り返して聴きたい。

13.「赤とんぼ変奏曲」
  技巧の妙が楽しめる。

14.「紅葉」
  やはり思わずいっしょに歌ってしまう。小学生のころよく歌った曲。

15.「荒城の月」
  ここでは一般的に歌われている山田耕筰による 修正旋律
  ではなく、原曲のまま奏している(#の有無等)。
  物悲しく男性的な旋律がチェロによく合っていて感動的。

16.「故郷」
  再び効果音で、小川のせせらぎや虫の鳴き声の中、
  無伴奏チェロが歌う。これも短くて残念。もっと聴きたい。

17.「この道」
  これもいっしょに歌いだす。

18.「雪」
  冬というよりも快活なステップやポルカを連想するような
  明るい感じ。

19.「大きな古時計」
  厳密に言えば「日本の旋律」ではないということになるが、
  それはどうでもよいと思うような音楽の普遍性を感じる。

20.「きらり」
  純情きらりの録音を加えていただいたのは素晴らしい
  プレゼントだ。

以上、ぜひ多くの人に聴いていただきたいアルバムである。

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