「この胸いっぱいの愛を」はお薦めします
2月22日の文「ここ半年で見た映画について」の中で触れた
映画の1つ「この胸いっぱいの愛を」がDVDレンタルで出た
ので、あらためてもう一度見た。
いい映画だと思う。2月22日では、
「なかなか良いが、後半に判明する「もうひとひねりの仕掛け」が
最近「はやり」の手法なので、もっと違うありかたはないか」
との疑問は呈したし、その考えは同じだが、
それはさておいたところで、いろいろと考えさせ、
胸熱くさせられる内容は持っている映画である。
人間には恐らく誰にでも、
「伝えたかったのに伝えられなかったこと」また、そういう人が
(理由はいろいろだとしても)あるのではないか?
この映画は、それをある種の極限状況において設定していること
により、思いの誠実さ、ともいうべきものを良く表現している。
全体の音楽を担当しているのは千住明氏。以前の彼の作品は、
これみよがしな、というか、自己主張ばかりで、映画を台無しに
するような「うるさい」音楽が多く、嫌いだったが、
ここでは静けさ=弱音を基盤に書かれていて好感が持てる。
特に、エピローグの直前、和美姉ちゃんの独白のシーンで
背後に流れるハープのソロの音楽はとても静かでステキだ。
また、マスカーニのカヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲が
重要なものとして扱われているのが、
この曲の大好きな私としては嬉しいかぎりだ。
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