2020年11月26日 (木)

前橋汀子 弦楽カルテット

後日記載します。

2020年11月15日 (日)

ルチア2日目~森谷組

日生劇場オペラ「ルチア」2日目~森谷組
昨日の初日組に続き、日生劇場の特別版公演オペラ「ルチア~あるいはある花嫁の悲劇~」の2日目の組の公演を15日午後、日生劇場で鑑賞した。
指揮は昨日と同じく柴田真郁さん。演出・翻案も同じく田尾下 哲さん。オケも同じく読売日本交響楽団。
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この日のルチア役は森谷真理さん。森谷さんは、10月7日、王子ホールでリサイタルを聴き、ブリテン、ドビュッシー、マスネらの個性的選曲にして圧巻の歌声を聴いたばかりだし、7月11日は、中止になった「ルル」公演に代わって、文化庁と東京二期会の共催により行われた、「希望よ、来たれ!」と題された東京二期会スペシャル・オペラ・ガラ・コンサートで、東京文化会館大ホールに響き渡る森谷さんが歌ったベルクの「ルルの歌」に圧倒されたのだった。
よって、自ずと森谷さんのルチアは想像していたが、もちろん、想像以上の素晴らしい歌声で魅了された。
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初日の高橋 維さんが細めの声、この日の森谷さんはやや太めの声。繊細な高橋さんに対して、ドラマティックな森谷さん。高橋さんが女の「青白き情念」を表出したと言えるとしたら、森谷さんは「赤色の情念」を表出した、と言えるかもしれない。
技術、声量、トーンの変化等々、圧巻の森谷ルチアだった。敢えて心象を妙な言い回しで言うなら、高橋さんのルチアにはプッチーニ的悲劇のヒロインを感じ、森谷さんのルチアにはヴェルディ的悲劇のヒロインを感じた。こんなこと言ったら、ドニゼッティに怒られるけれど。
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エドガルドは、城 宏憲さんに代わって歌われた吉田 連さん。昨日の宮里さんのエドガルドが、若々しい青年の魅力なら、この日の吉田さんは、もう少し年輪と艶の混じった美声で、とても素晴らしかった。
エンリーコ役の加耒 徹さんも役に相応しい歌声を聴かせてくれたし、アルトゥーロ役の伊藤達人さんの伸びやかな美声、アリーサ役の藤井麻美さんも良い声で共に良かった。
いつもながら堂々たる歌声の妻屋秀和さんのライモンドは素晴らしかったし、城さんの降板の関係で、連日出演となったノルマンノ役の布施雅也さんにも心からの拍手を送りたい。
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15日のソリスト
ルチア:  森谷真理
エドガルド:吉田 連
エンリーコ:加耒 徹
ライモンド:妻屋秀和
アルトゥーロ:伊藤達人
アリーサ: 藤井麻美
ノルマンノ:布施雅也
泉の亡霊:田代 真奈美(両日)
https://www.nissaytheatre.or.jp/wp-content/uploads/2020/07/%E3%83%AB%E3%83%81%E3%82%A2-A4-%E9%9D%92-%E8%A1%A8%E9%9D%A2ol.png

https://opera.nissaytheatre.or.jp/info/2020_info/lucia/index.html

https://theatertainment.jp/translated-drama/66860/

2020年11月14日 (土)

ルチア初日組

当初予定されていたドニゼッティのオペラ「ランメルモールのルチア」(上演時間は約2時間20分)を、コロナ禍を考慮して、オペラ「ルチア~あるいはある花嫁の悲劇~」として全1幕上演時間約90分(休憩なし)に凝縮した日生劇場だけの特別版公演、ダブルキャストの初日組を14日午後、日生劇場で鑑賞した。
指揮は柴田真郁(しばた まいく)さん。演出・翻案は田尾下 哲(たおした てつ)さん。管弦楽は読売日本交響楽団。
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このオペラに関しては詳しくないが、ルチア役を歌うことが如何に大変か、ということはもちろん知っている。アリアが長いだけでなく半端なく難しい。ルチアを歌うには、才能に加え、相当な期間修練した結果、余程の自信を得たと確信していない限り、とても歌えないだろうことは想像がつく。
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この日のルチア役は高橋 維さん。私は今年2月、甲府での「ラ・ボエーム」でムゼッタ役を歌われたのを聴いて以来で、今回は完全な主役だ。なお、甲府での「ラ・ボエーム」終演後、ミミを歌われた鷲尾麻衣さんに挨拶に伺った際、楽屋通路で、高橋 維さんを見かけたので、「ムゼッタ、ブラーヴァでした」とお声掛けした次第だった。そう、あの頃はまだ(ギリギリで)楽屋訪問もできた時期だった。
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この日の高橋さんは、前半は声量と表現を抑制されていた感じがしたが、後半からエンディングにかけては素晴らしく、圧巻だった。
アリーサの与田朝子さんも素晴らしい歌声だったし、このオペラでは男声陣も重要なわけだが、エドガルド役の宮里直樹さん、エンリーコ役の大沼 徹さんを中心に充実した歌声を聴かせてくれた。特に宮里さんの「益々の進化」を実感した次第。
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もっとも、田尾下 哲さんの演出には問題があり、ステージで生姿&直声を披露したのは高橋さんのみで、他は、左右の舞台袖で歌う、という演出をとった。たぶん、マイクによる微調整(補強)がされていたようで、その点では、むしろ、高橋さん以外の歌手の声量が大きく、聴いている分には良いが、しかし、歌手の姿が見えないで進行するのは、結構フラストレーションとイライラ感が溜まった。
甲府での「ラ・ボエーム」といい、最近の田尾下さんの演出はどうも好きになれない。
指揮とオケは精力的でとても良かった。
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14日のソリスト
ルチア:  高橋 維
エドガルド:宮里直樹
エンリーコ:大沼 徹
ライモンド:金子慧一
アルトゥーロ:髙畠伸吾
アリーサ: 与田朝子
ノルマンノ:布施雅也
泉の亡霊:田代 真奈美(両日)
なお、11月15日に、エドガルド役で出演を予定していた城宏憲さんが、体調不良で降板された関係で、15日のエドガルド役には吉田連さんに代わり、その関係で、この日=14日に、吉田連さんが演じる予定だったノルマンノ役に、布施雅也さんが代演された。
https://opera.nissaytheatre.or.jp/info/2020_info/lucia/index.html

2020年11月 8日 (日)

クァルテット・エクセルシオ 第39回 東京定期演奏会

11月8日午後、クァルテット・エクセルシオの第39回 東京定期演奏会を、東京文化会館小ホールで聴いた。曲目は、
ハイドン 弦楽四重奏曲 第33番 ト短調 作品20-3
ラヴェル 弦楽四重奏曲 ヘ長調
ベートーヴェン 弦楽五重奏曲 ハ長調 作品29
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1曲目のハイドンの弦楽四重奏曲 第33番は、第1楽章と第4楽章が短調であり、既に後の時代を予感させるかのような様式的斬新さと、音響的個性が存在しており、「さすが、ハイドン」と思った。第2楽章の爽やかさと、第3楽章のロマンティックとも言える愛らしさも素敵だった。
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2曲目のラヴェルの弦楽四重奏曲は素敵な名曲。第1楽章は響もメロディも斬新で美しい。第2楽章の効果的なピッツィカート用法。第3楽章の印象的なヴィオラのソロを含め、様々な要素が散りばめられた見事な曲想。第4楽章のエネルギッシュな内容、と本当にユニークにして魅力的な曲だ。
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休憩後に、読売日本交響楽団ソロ・ヴィオラ奏者の柳瀬省太氏を迎えて演奏されたベートーヴェンの弦楽五重奏曲は初めて聴いたが、とても良い曲で、大いに気に入った。「さすが、ベートーヴェン」という曲。
ヴィオラ1人増しただけでも、内声部に厚みが出たことは、最初の1小節間で直ぐに判った。曲の素晴らしさに加えて、四重奏と五重奏の音構造そのものも違いや、ヴィオラという楽器が如何にアンサンブルにとって大きな役割を果たしているか、改めて認識させてくれる曲であり、演奏だった。
アンコールとして「フーガ ニ長調」という短い曲が演奏されたが、作品137と言っても、1817年作と言われ、発見か出版の関係で最晩年の作品番号が付けられたのだろう。

 

https://quartet-excelsior.wixsite.com/schedule/20-11-8%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%AE%9A%E6%9C%9F

2020年10月18日 (日)

トゥーランドット~18日公演

ダブルキャストのもう1組の演奏を10月18日、同じく神奈川県民ホールで聴いた。
ダブルキャストで聴く楽しみは、歌手の優劣ではなく、個性の違いを感じ取れる事にある。例えば、同じリューでも、昨日の木下さんと今日の砂川さんとでは質感が全然違う。そこが面白い。
最初に全体的な印象を述べると、初日組がベテランの、経験豊富な歌手が中心のキャスティングであったのに対して、18日公演組は、たぶん平均年齢が若い組による公演、と言えると思う。
よって、色合いで言うなら、17日組が「濃い色合い」だとすれば、18日組は、もう少し「パステルカラー系統のような色合い」にして若き実力者による公演と言えるかもしれない。
ここでも、歌手を列記後、初日組同様、舞台での登場順~歌い出す順~で、感想を書いてみたい。
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トゥーランドット姫:岡田昌子、王子カラフ:芹澤佳通
リュー:砂川涼子、ティムール:デニス・ビシュニャ
皇帝アルトゥム:大野徹也、役人:井上雅人
大臣ピン:大川博、大臣パン:大川信之、大臣ポン:糸賀修平
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役人役の井上雅人さん
初日の小林啓倫さんが落ち着いたトーンだったのに対し、井上さんはやや濃いトーンで、良い意味で権威ある管理者感が出ていた。
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王子カラフ役の芹澤佳通さん
今回初めて聴いたが、高音が素晴らしく、一瞬、ドミンゴかと思ったほど。ただ、大役ゆえ、そうとう大変だったようで、第2幕の後半くらいから、少し声に疲労が感じられた。どうしても前日の福井敬さんと比べてしまうのだが、芹澤さんのせっかくのヘルデン系の美声が、持続的な声量としては少し弱くなる場面があった。後半の声の質的保存力が今後の課題のような気がした。例えば、「誰も寝てはならぬ」は全体としては素晴らしかったが、低音のD(1点ニ)が弱かったのと、最高音Hでは、もう少しだけ持続的な声量があったら最高だった。それでも十分魅力的なアリア歌唱だったし、オペラ界に素敵な歌手が登場したと思う。
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リュー役の砂川涼子さん
外見的にも小柄で可愛らしい素敵な容姿だが、それが歌声にも出ていて、ピュアで可憐で、「せつなさ」一杯溢れる歌声で素敵だった。声量は木下さんほどではないにしても、第1幕でのアリアや、第3幕での有名なアリアでは、凛とした清らかさと哀愁が共存する見事な歌唱だった。
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ティムール役のデニス・ビシュニャさん
前日のハオさんが慈愛を感じさせたのに対し、ビシュニャさんは威厳を感じさせる父親像を表出していて印象的だった。どちらも見事なティムールだと思う。
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ピン、パン、ポンの3人組
正直に言わせていただくと、前日以上に、この18日組の3人が特に良かった。ピン役の大川博さんが堂々たる声でリードし、ポン役の糸賀修平さんがとても個性的な声で印象的。パン役の大川信之さんも良かった。
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皇帝アルトゥム役の大野徹也さん
敢えて地声で歌う、という難しい役で、ちょっと苦労されているなあ、という印象を受けた。テナーなら、遠慮することなく堂々と歌いたいところ、「それをやれない役所」という難しい役だ。
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トゥーランドット姫役の岡田昌子さん
岡田さんは決して太い声ではなく、むしろ、シルクのような気品のある美声だが、ここぞという場面での声量は十分あって素晴らしかったし、謎かけの場面とそれ以降におけるドラマティックな歌唱は、お世辞抜きで本当に見事だった。第3幕での叙情的歌唱も美しかった。
第3幕の終わり近くでは、高音で強く入った(強靭な発声で歌い出した)かと思ったら、subito(スービト。すぐに)で、ピュアなトーンに変化させたのには心底驚き、感動した。凄い技術で、敢えて口幅ったく言わせていただくと、「凄く成長されたな」と思ったし、その成長に胸が熱くなる思いがした。その場面は、フェルマータしてディミヌエンドする部分だったかもしれず、それだと、プロ歌手としては当然の表現なのかもしれないが、それにしても抜群のトーン変化で、とても感動した。
2012年2月のヴェルディ「ナブッコ」公演で、アビガイッレ役を歌い演じた岡田昌子さんに感動し、厚かましくも友人になっていただて以来、ずっと応援してきたが、益々進化し続ける岡田昌子さんに今後も期待したい。

2020年10月17日 (土)

トゥーランドット~神奈川県民ホール~初日組

10月17日、18日のダブルキャストでの「トゥーランドット」初日組を鑑賞した。
同ホールも新型コロナ関係で、8月末まで休館を余儀なくされ、再開後の初のオペラ公演。
指揮は佐藤正浩さんで、管弦楽は神奈川フィルハーモニー管弦楽団。担当コンマスは﨑谷直人さん。
合唱は二期会合唱団、児童合唱が「赤い靴ジュニアコーラス」。
また、詳細は後述するが、今回の演出は、「H・アール・カオス」というダンサー組織から5名のダンサーが出演し、公演の特徴づけと成功に大いに貢献した。
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なお、指揮者に関しては、当初予定されていたアルベルト・ヴェロネージ氏が、新型コロナ関係の出入国制限により入国できなくなったことによる変更。10月17~18日神奈川公演および24日大分公演を佐藤正浩さんが、31日の山形公演を阪 哲朗が指揮されることになった。こう言ってはなんだが、ヴェロネージ氏には申し訳ないが、代演であっても、日本人音楽家が活躍できる機会が増えたこと自体は良いことだと思う。この事は、先日の新国立劇場での「夏の夜の夢」の感想において言及済。
また、10月17日神奈川公演および24日大分公演で、リュー役の予定だったフランス在住の大村博美さんも、新型コロナ関連出入国制限により入国できなくなり、木下美穂子さんに変更となった。
大村博美さんは、私が所属する合唱団が昨年12月にベートーヴェンのハ長調ミサを演奏した際、ソリストの一人として出演いただき、面識を得たことから今回楽しみにしていただけに、とても残念だったが、後述のとおり、木下美穂子さんのリューはとても素晴らしかった。
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客席は左右1席空けだが、1~3階までほぼ埋まっている感じ。1階の前3列が完全空席対応なのは、大ホールでの今やトレンドと言える。
演出・振付は大島早紀子さんで彼女についても後述する。装置デザイン:二村周作、衣裳デザイン:朝月真次郎。
歌手を列記後、舞台での登場順~歌い出す順~で、感想を書いてみたい。
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トゥーランドット姫:田崎尚美、王子カラフ:福井敬
リュー:木下美穂子、ティムール:ジョン ハオ
皇帝アルトゥム:牧川修一、役人:小林啓倫
大臣ピン:萩原潤、大臣パン:児玉和弘、大臣ポン:菅野敦
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佐藤さん指揮の冒頭。速めのキビキビとしたテンポで開始。
合唱は全幕、どの場面も全て素晴らしかった。児童コーラスも可愛らしかった。
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役人役の小林啓倫さん
落ち着いた、安定感ある良い声。
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王子カラフ役の福井敬さん
声量と美声はもちろん、一途さがよく出ており、格調高い名歌唱。サスガの感がある。演技、表情、表現とも巧く、ベテランの面目躍如。ここ何年も多くのオペラの主役を歌い、NHKニューイヤーオペラコンサートでは毎回トリを歌うが、「そろそろ後輩にその場を譲ってあげれば」と内心思うものの、しかし、こうした歌唱と演技を観、聴かされると、現実問題としては、福井さんのお株を奪うほどに取って代わることのできるテナーは、日本人の中には未だあまりいないのかもしれない。
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リュー役の木下美穂子さん
前述のとおり、大村博美さんの代役としての出演だが、情感溢れる美声で、声量もあり、とても素晴らしく、大成功のピンチヒッターだった。木下さんも名歌手たる面目躍如というところ。
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ティムール役のジョン ハオさん
悲しみを全面に出した役に相応しい歌声と演技に魅了された。控えめながらも深い声が素晴らしかった。
実は、大村さんに関する前述で触れた、私が所属する合唱団の昨年12月のハ長調ミサの際、ハオさんもソリストの一人として出演していただいたのだが、終演後のレセプションで見せていた笑顔とは、当然ながら別人のようなシリアスな表情と演技がステキだった。
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ピン、パン、ポンの3人組
強烈な印象とまでは行かなかったが、ユーモラスな面も含めて、十分活躍されたし、アンサンブルも良かった。
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皇帝アルトゥム役の牧川修一さん
「老いた皇帝」という役設定ゆえ、テナーなのに堂々と歌えず、弱々しく歌わねばならない、という難しい役だが、そのキャラをよく表していて、巧かった。
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トゥーランドット姫役の田崎尚美さん
本当は底辺に悲しみを抱いているのだ、ということを感じさせる歌唱。堂々たる歌唱と演技だったし、歌声自体に一種の憂いがある色があったので、トゥーランドットも強さだけではなく、悲しさも表現されていたと思う。
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全体におけるダンサーたちによる振付と演出が秀逸
ダンスは「H・アール・カオス」から、メインダンサーとして白河直子さん、ダンサーとして斉木香里さん、木戸紫乃さん、野村真弓さん、坂井美乃里さんが出演。
H・アール・カオスは、日本のコンテンポラリー・ダンスのカンパニーで、大島早紀子さんと白河直子さんにより1989年に設立とのこと。
「宙吊り」を含めた高所でのパフォーマンスも多く、激しい振付も頻出。音楽に添って感情や情念を表す激しいダンスが素晴らしく、音楽を邪魔することなく、劇進行における意図をフォローし、盛り上げる効果絶大だった。
本公演の個性的特徴づけと成功に、大いに貢献するダンサーたちと振付と演出だった。
それを担当して統率した演出・振付の大島早紀子さんは、終演後、カーテンコールに登場したが、現役のダンサーみたいにスタイル抜群でカッコいい。しかも、休憩時間にはロビーに出て来て、関係者と談笑していた。18日も同様。もし、気難しい男性演出家という人がいるとしたら、そういう人より、よほど親しみが湧くし、何より、演出自体がとても素晴らしかった。
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その他
第2幕が壮大な合唱で終わって2回目のインターバルに入るとき、「この日常の中の、非日常感の感動こそ尊い。これが失われていた半年間の世界は異常だ」、とつくづく思った。
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最後になったが、指揮者の佐藤正浩さんと神奈川フィルハーモニー管弦楽団に心からの拍手を送りたい。オケは2日目に、金管に若干疲れのようなものを部分的には感じたが、オケとしての練習時間が制限されてきたここ数か月のことを考えれば、立派なデキだったと思う。
https://www.kanagawa-kenminhall.com/oita-yamagata-turandot/

2020年10月14日 (水)

この半年で観た映画 その29

4月23日に、この半年で観た映画 その28として、
2019年10月~2020年3月に劇場やDVDで観た映画の
感想を書いたのに続き、それ以降の
2020年4月~2020年10月に観た映画の感想を
シリーズの29として感想を記したい。
なお、これまで同様、既に単独でブログに書いたものは
「○月○日のブログに記載のとおり」、とだけにしたい。
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帝一の國  テレビ放送
劇場やDVDで観ていなかったので、TV放送で観れて良かった。
面白かった。若い俳優は皆達者。物語のウラの主役は志尊淳だな。
https://www.youtube.com/watch?v=xI-Y5F_HH0s
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楽園  (DVD)
なんとも陰鬱な内容だし、展開も解かり難い手法だった。
https://www.youtube.com/watch?v=cTM-CusZlG4
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人間失格 太宰治と3人の女たち (DVD)
二階堂ふみさんが可愛いらしかった。朝ドラ「エール」とは全然違う二階堂ふみさんを見たい人は必見。セミヌードシーンもあります。
https://www.youtube.com/watch?v=4YLU0m2vHGk
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火口のふたり R18指定(DVD)
色々な意味で特別な事情と設定の2人の映画。基本的にはエロティシズムが題材だが、内容はよく練られていて、なかなか良かった。
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最高の人生の見つけ方 (DVD)
とても良かった。強く推薦したい映画。特に「自分は金持ちと思っている人」は必見。「おカネは墓場には持っていけませんよ」という当たり前のことを改めて教えてくれる。
2人の旅のきっかけとなる少女に関するドンデン返し的要素も含めてよく練られた物語。大いに満足。
https://www.youtube.com/watch?v=2dP-F6x0Y7s
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決算!忠臣蔵 (DVD)
面白かった。仇討ち(復讐)だろうと、全て「先立つモノ」が無いと始まりませんよ、というカネを中心に置いた視点からの設定がユニーク。
「討ち入りシーンの無い忠臣蔵の映画」という点でも前代未聞。ユーモラスを忘れず、と多くの点で見事。
https://www.youtube.com/watch?v=qk5yTw9imP4
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アイネクライネナハトムジーク (DVD)
青春映画。内容は平凡。
https://www.youtube.com/watch?v=Nn2Ulth2RI4
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記憶にございません!  (DVD)
面白かった。最近の三谷作品は駄作が多いが、これは良かった。
https://www.youtube.com/watch?v=rouyCuTyCko
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閉鎖病棟 ―それぞれの朝― (DVD)
とても良かった。バラエティの鶴瓶さんは好きだが、映画で出てくると、バラエティのイメージが強すぎて、映画での鶴瓶さんは好きになれなかったが、この作品での存在感と演技は素晴らしい。
鶴瓶さんと小松菜奈さんそれぞれにとって、代表作の1つであることは間違いないし、綾野剛さんもとても良かった。
大いに推薦した映画。
https://www.youtube.com/watch?v=DFTMDcD2BOE
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しあわせの隠れ場所(原題: The Blind Side)2009年 テレビ
サンドラ・ブロック主演
映画『しあわせの隠れ場所』予告編
https://www.youtube.com/watch?v=awZF4Oyoir0
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 糸  (劇場)
公開初日に観た。美瑛の自然が美しい。美瑛で育った2人の人生の交錯とラストに繋がる糸という絆が清々しい。何度でも観たい映画だ。
https://www.youtube.com/watch?v=4fcRTF2RVtw
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2020年10月12日 (月)

新国立劇場に関して思ってきたこと

ブリテンの「夏の夜の夢」上演に際して、当初予定されていた外人歌手と指揮者が来日できなくなった関係で、当該アーティストは全て日本人に取って代わられたことは、とても良かった、と思っている。
係る状況になる前から、新国立劇場でのオペラ公演では、ほどんどの演目における歌手が、外人主体であり、その結果として、チケット料金も高額であることは、ずっと不満に思ってきた。もちろん、チケット料金問題は付随的な事で、「外人歌手招聘主義」がメインの問題だ。
国内で聴く機会の少ない外人歌手を招聘して、それなりのレベルで公演を行う意義はもちろん理解できる。ただ、国内の劇場にもかかわらず、あまりにもそれを主とし、優秀な日本人歌手に活躍の場を、限定的にしか与えない現状を私は好ましく思わない。
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30年前、40年前とかならまだしも、昨今の20代から40代の、男女を問わず日本人歌手の多くは、とても優秀で、わざわざ外国から招聘する必要性を感じないほど「差」は無くなってきている。この認識、意見、感想は、私だけではなく、ほとんどの日本人オペラファン、クラシック音楽ファンの一致するところだと確信する。
日本の音楽ファンも、さすがに昨今(いつまでも)、「外人歌手こそ最高などという神様認識は無い」。公演関係者は、日本のオペラファン、クラシック音楽ファンをバカにしないでもらいたい。
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「チケット料金を安価にするため」などという低次元な理由からではもちろんなく、ひと昔前とは比べものにならないほどに、日本人歌手は優秀なレベルとなり、そういう歌手がどんどん出てきている時代なのだから、そうした歌手の皆さんに活躍の場をたくさん提供し、更なる成長を促す音頭を、新国立劇場がとらなくて、どこがとるのか、と思う。
コロナ禍の有無に関係なく(去った後も)、新国立劇場のオペラ公演は、日本人歌手主体で上演、運営して欲しいと強く希望する。

2020年10月11日 (日)

都響+田部京子さん~ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番他

10月11日午後、東京芸術劇場で「都響スペシャル2020」と題されたコンサートを聴いた。きっかけは、ソリストとして田部京子さんが出演されたことに他ならない。
指揮は梅田俊明さんで、演奏曲は、ベートーヴェンの序曲「コリオラン」、同しくベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番ト長調とドヴォルザークの交響曲第7番ニ短調。
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まず、演奏以外のことを記すと、オケ、指揮者、ソリストともマスクなし。もはや当然のこと。
客席は1階前3列を空席、ステージ左右2階のバルコニー席も空席。他は左右1席空けでの限定席。
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東京都交響楽団の弦の人数をファースト・ヴァイオリンからチェロまでをプルト(1プルトは2人)で言うと、7-6-5-4で、コントラバスが6人だから、やっと普通の、普段の編成での演奏になったと言えるし、金管、木管の奏者の間隔(左右前後)も特別広く空けるということはなく、以前と同じ位の間隔での位置取り。
あとはもう、マーラーとか「春の祭典」などの大規模な作品をいつ演奏するか?という事が残された課題と言えるだろう。「やっとその段階まで来た」ということだ。
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さて、1曲目の「コリオラン」序曲は、冒頭に3回奏される全音符とその後の4分音符での和音の、それぞれにおいて、全音符と4分音符との(移行する)間に、一瞬「間」(溜)を置いたのは良かった。指揮者はそこまで細かく振っていないが、オケがちゃんとそう演奏した。もちろん、リハで約束済のことだろう。
後半でのホルン強奏が表れる部分ではいつも感動する。迫力満点で、さすがベートーヴェンと言うべき、ドラマティックなオーケストレーション。本当に素晴らしい曲で、大好き。「エグモント」よりも好きだ。
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田部京子さんは、今年に入り、ベートーヴェンのピアノ協奏曲を、6月に東京交響楽団および8月に山形交響楽団と3番、7月に新日本フィルハーモニー交響楽団と1番、9月に東京交響楽団と5番「皇帝」を弾いているので、この日の都響との4番で、2番を除く4曲を弾いたことになる。
この時期、係る状況下、予定されていた外人ピアニストの代演も含まれるにしても、他のピアニストが羨むほどの大活躍と言える。堅実な実力はもちろん、おそらく人柄やステージマナーを含めて、如何に多くのオーケストラや指揮者からの信頼が厚いかが、図らずも証明されたと言えるだろう。
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さてその4番の演奏は期待に違わぬ名演だった。第1楽章では艶やかな美しい音に加え、叙情的な曲想の場面と快活なパッセージとの弾き分けが素晴らしい。
そして、このホールは協奏曲に向いていると感じだ。すなわち、大ホールではあるが、ステージは大き過ぎず、音響の良さはミューザ川崎といい勝負と言えるくらいで、ピアノ協奏曲にはうってつけのホール、ソリストを抜群にフォローするホールと言えるかもしれない。そう強く感じだ。
第2楽章での田部さんは、遅すぎないテンポの中で、徹底して、しっとりとした湿りのあるタッチにほぼ終始して、瑞々しい抒情性を表出していた。弦のアンサンブルもとても良かった。
第3楽章の冒頭の主題を、拍に機械的に収めるにではなく、即興的に弾いたのが印象的だし、大賛成だ。リズミックな演奏に徹した、アクティブでアグレッシブな、生き生きとした素晴らしい第3楽章だった。
なお、この楽章では、チェロがソロで低音の持続やオブリガート的に奏する場面が2回あるのだが、録音だと、その「意味」がイマイチ解らないと思えても、ライブだと、ステージにおけるピアノとの音量的バランスが明白に判ることから、なぜ、ベートーヴェンがトゥッティではなく、ソロに指定したのかが理解できる。このことも、この日、あらためて明確に確認できて良かった。
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休憩後のドヴォルザークの7番。牧歌的な第2楽章とリズムの素晴らしい第3楽章が名曲だと思うし、第4楽章もよくできていると思う。
梅田さんは、暗譜で手慣れた感じで指揮をしていたので、「7番が好きなんだなあ」ということがよく解る指揮、演奏だった。オケもとても良かった。
https://www.tmso.or.jp/j/concert/detail/detail.php?id=3449

2020年10月 9日 (金)

新国立劇場~ブリテン 「夏の夜の夢」

10月8日夜、新国立劇場でベンジャミン・ブリテン作曲のオペラ「夏の夜の夢」を観た。初めて聴いたオペラ。原作がシェイクスピア、台本がブリテンおよびピーター・ピアーズによるもので、全3幕、英語上演。第1幕と2幕がそれぞれ約50分、第3幕が約55分という演奏時間。
芸術監督 大野和士さんの「20世紀オペラの中で最も華やかで心の底から楽しめる作品を」という理念に基づく選曲とのこと。
妖精の気まぐれで起こる大騒動を描いたシェイクスピアの傑作喜劇をもとに、原作の約半分を台本化したオペラで、妖精、恋人達、職人達の3つの世界が展開。今回の演出は、ムーヴメントレア・ハウスマン氏だが、2004年モネ劇場で初演されたデイヴィッド・マクヴィカー氏の演出を基にしたアレンジとのこと。
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マクヴィカー演出のプロダクションは2004年モネ劇場で初演されたもので、デザイナーのレイ・スミス氏が美術・衣裳を手がけ、巨大な屋根裏部屋を舞台に、神秘的な闇の中で起きる男女の応酬を現代的なタッチで描いたもの、とのこと。
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内容の前に、新国立劇場のオペラハウスという大劇場ではあったけれど、客席は1席空けの体制にしていなく、ごく普通の状況。前日の王子ホールの何倍もある大劇場なので、少し驚いたが、ようやく「普通」~以前の状況~に近づいてきた、というところだろう。
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出演者は以下のとおりだが、歌手の皆さんはステキだった。特に、毎幕に度々登場する6人の男性による重唱はどれも楽しかった。
肝心のブリテンの音楽だが、無調ではないものの、ブリテンらしい個性的で近代的和声に基づく個性ある音楽だったが、第1幕と第2幕は、正直私はいささか退屈だった。物語の登場人物の関係性と展開が解り難かったし、何より、音楽に有機的発展のようなものを感じず、都度々での独特のトーンは興味深かったものの、総合的な展開としては楽しめなかった。
もっとも、第3幕~特にその後半~からは、ガラッと雰囲気が変わり、第3幕は面白かったです。「今までの展開は何だったのか?」と思うほど変化した。
この変化により、面白さは倍加したが、では、オペラとして成功しているか? こういう展開は、整合性や統一性において説得力を有するか?と問われれば、大いに疑問である。
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このオペラとは別に、普段から新国立劇場に関して思っていることを、キャスト名の記載の後に記しておきたい。ご参考としてお読みいただけたら幸いです。
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指揮:飯森範親
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
児童合唱:TOKYO FM 少年合唱団
演出・ムーヴメントレア・ハウスマン
(デイヴィッド・マクヴィカーの演出に基づく)
オーベロン:藤木大地、タイターニア:平井香織、パック:河野鉄平
シーシアス 大塚博章、ヒポリタ:小林由佳、ライサンダー:村上公太
ディミートリアス;近藤 圭、ハーミア:但馬由香、ヘレナ:大隅智佳子
ボトム:高橋正尚、クインス:妻屋秀和、フルート:岸浪愛学
スナッグ:志村文彦、スナウト:青地英幸、スターヴリング:吉川健一
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新国立劇場に関して思ってきたこと
これに関しては、別途12日付けで記載済みです。
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/a-midsummer-nights-dream/

2020年10月 7日 (水)

森谷真理さんリサイタル~王子ホール

10月7日夜、東京 銀座の王子ホールで、大活躍中のソプラノ歌手 森谷真理さんのリサイタルを聴いた。ピアノ伴奏は天才的名人の山田武彦さん。
本来は、4月25日に予定されていたリサイタルの延期公演。
会場は自由席というだけでなく、客席左右1席を空けないコンサートだったので、少し驚いた。1席を空けないコンサートは、ここ数ヶ月で私は初めて。森谷さんが、というより、王子ホールがいい根性している。客からすると、コロナがどうとかよりも、ここ数か月で、1席空けた快適なコンサートに慣れたので、窮屈感は否めない。
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演目は下記のとおりだが、前半はブリテンの歌曲集「イリュミナシオン」を持ってくるという、現代曲を得意とする森谷さんらしい個性的な選曲。無調ではないが、ブリテンらしい個性的で近代的和声による歌曲で興味深かった。なお、ステージの上部にスクリーンで和訳の文字も映し出すという工夫がなされた。
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後半の2曲目は、プログラムでの記載は、即興曲、「エディット・ピアフを讃えて」とだけの、素っ気ない記載だったが、実際は、山田武彦のピアノソロで、まず、左手だけで、シャンソン「バラ色の人生」を基にした即興曲を弾き、その流れのまま両手に変換して、プーランクの「エディット・ピアフを讃えて」を演奏した。
森谷さんは、ドビュッシー「抒情的散文」の3曲目の「花」や、マスネの「マノン」からの歌において、圧巻の高音声量を聴かせ、オペラの引っ張りだこの力量と貫禄を示した。
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アンコールに入る前に初トークが入ったが、ざっくばらんな人柄のようで面白かったし、常連のご婦人ファンがたくさん来場されていて、トークの間、笑い声が何度も起き、くつろいだ雰囲気のコンサートだった。
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第1部
1.ブリテン『イリュミナシオン』
1. ファンファーレ 2. 大都会 3a.フレーズ 3b.アンティーク
4. 王権 5. マリーン 6. 間奏曲 7. 美しくあること
8. バラード 9. 出発
(休憩)
第2部
2.ドビュッシー:歌曲集「抒情的散文」より
1. 夢 2. 砂浜 3. 花 4. 夕暮れ
3.即興曲、プーランク「エディット・ピアフを讃えて」
4.マスネ「マノン」より
(1)「私が女王のように街を歩くと」(2)ガヴォット
5.グノー「ファウスト」より「宝石の歌」
アンコール
1.マスネ「タイス」より「美しいと言って」
2.サティ「ジュ・トゥ・ヴ」
https://marimoriya.com/event/20201007/

2020年10月 6日 (火)

前橋汀子さんライブコンサート~文京シビック夜クラシック

10月6日夜、文京シビックホール主催の毎回19時30分開始のコンサート、「夜クラシック」そのVol.25を聴いた。出演者はヴァイオリンの前橋汀子さんとピアノの情熱的な名手である松本和将さん。大ホールでの左右1席空け限定席数でのコンサート。
女性の年齢に触れるのはどうかと思うが、公表されているので言及すると、今年の12月で77歳になられる前橋汀子さんは、ソロ、主宰する弦楽四重奏団での活動等々、益々ご活躍されているのが素晴らしい。
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録音は別として、ライブでは何十年ぶりかに拝聴したその腕前は、20代~40代などとの比較することは難しいかもしれないが、彼女をよく知るファンは、正確無比な音程や美的感覚を求めて来場はしていないだろう。それに、元々、彼女は、年齢とかに関わらず、若いころから、1音の美感以上に、アグレッシブなフレージングによる音楽創りを優先してきたと認識しているし、この日もそういう音楽創りは健在であることを見事に示したコンサートだった。
大ホールでのピアノとのデュオ、というハンディは音量的には当然あったものの、音楽的な表現や、それを聴いて楽しむ聴衆にとっては、それほどハンディとは思わない楽しいコンサートだった。
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演奏曲は以下のとおりだが、後半2曲目のサン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオーソ」で、「前橋汀子、健在なり」を示した。完璧にして素晴らしいパッションある演奏だった。
面白かったのは、独特のボーイングで、例えば、「タイスの瞑想曲」や「ツィゴイネルワイゼン」の第2楽章の中で、1つのフレーズをまずダウンボーで降りてから、次のフレーズをアップで返して(弓先から)弾くのが普通のボーイングである場会において、前橋さんは、次のフレーズに移る前(最初のフレースの終わり際)にアップを一瞬早く先んじ、アップし始めたところから次のフレーズを奏する、ということを何度もされていた。弓先からの弱い音を避けることが主な目的かと想像するし、それで、特に不要なアクセントが付いてマイナスになる、というほどの支障は生じてはいなかった。
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1曲目が終わった後に、松本さんが挨拶された以外、最後までトークコーナーは無かったが、正規プログラムが終了し、カーテンコールの中、前橋さんが初めてマイクを手にされた。
「何か話すように言われているのですが、せっかく聴きに来ていただいていますので、おしゃべりよりも、アンコールとして、もう少し弾かせていただきます」、として、下記の3曲を演奏された。いずれも情感豊かなアンコール演奏だった。
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演奏曲
1.ドビュッシー「月の光」
~ピアノソロではなく、ヴァイオリンといっしょに編曲して演奏
2.エルガー「愛の挨拶」
3.ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」
(休憩)
4.マスネ「タイスの瞑想曲」
5.サン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオーソ」
6.サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」
アンコール
1.ドヴォルザーク「我が母が教え給いし歌」
2.ブラームス ハンガリー舞曲第1番
3.ブラームス ハンガリー舞曲第5番
https://www.b-academy.jp/hall/play_list/059801.html

2020年9月27日 (日)

久々に聴いたピアノデュオ「デュオ・グレイス」

9月27日午後、調布グリーンホールで、せんがわ劇場プロデュースのサンデー・マティネ・コンサートPlus+ Vol.19「デュオ・グレイス ピアノコンサート」を聴いた。
「デュオ・グレイス」は以前、CDを紹介したとおり、高橋多佳子さんと宮谷理香さんという、いずれも、ショパン国際コンクール5位入賞者により結成されているピアノデュオ。
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この日のコンサートは、2人のトークを交えての休憩なしの1時間強のコンサート。
調布グリーンホールは1~2階合計で1,307の座席数だが、例によって来場制限があり、300席限定のコンサート。左右3席空けだったが、その中では8割から9割近く来場あったと思う。
2人は、「満員ですね」と会場を笑わせていた。
2人にとっても久々のライブということで、感慨深い旨、何度も言及されていたし、2人の出身大学である桐朋学園大学在学中は、このホールは学内実技試験会場とのことで、そうした思い出や感想も語られていた。
なお、あくまでも話す声、ということで言えば、高橋さんはソプラノ、宮谷さんはアルト、という感じ。
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演奏曲は以下のとおりで、ソロももちろん良かったが、なんと言っても2台によるデュオのモーツァルトの「2台ピアノのためのソナタ」(第1楽章のみ)、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」、アンコールのラフマニノフ「タランテラ」の演奏が迫力あり、素敵だった。
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演奏曲
1.サン=サーンス 「動物の謝肉祭」から「白鳥」
2.モーツァルト 2台ピアノのためのソナタ K.448より第一楽章
3.宮谷さんのソロで、ショパン ノクターン 遺作ハ短調
「レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ」
4.宮谷さんのソロで、ショパン ワルツ第4番Op.34-3ヘ長調「子猫のワルツ」
5.高橋さんのソロで、ショパン ノクターン第2番Op.9-2変ホ長調
6.高橋さんのソロで、ショパン ワルツ第6番Op.64-1変ニ長調「子犬のワルツ」
7.チャイコフスキー 「くるみ割り人形」全曲(エコノム版)
アンコール
1.サン=サーンス「動物の謝肉祭」から「水族館」
2.ラフマニノフ 2台のピアノのための組曲 第2番より「タランテラ」

https://www.sengawa-gekijo.jp/kouen/24102.html

2020年9月25日 (金)

やっと聴いたクァルテット・エクセルシオのライブ

9月25日夜、クァルテット・エクセルシオのコンサートを第一生命ホールで聴いた。この有名なクァルテットの存在は以前からもちろん知っていて、いつか生で聴いてみたいと思いながら、今頃になってしまった。
1994年、桐朋学園大学在学中に結成。結成25年を迎えたクァルテット・エクセルシオは、年間70公演以上を行う日本では数少ない常設の弦楽四重奏団。昨年初め、第2ヴァイオリン奏者が替わったが、他の3名は結成時以来のメンバー。女性が3名、男性が1名という構成。
活動の中で、「ラボ・エクセルシオ」と名付けた近現代曲のみを演奏するコンサートや、「クァルテット・ウィークエンド」と名付けた次世代のクァルテットを紹介共演するシリーズがあり、この日は後者。
この日の共演クァルテットは、2014に東京藝術大学在学中に結成されたタレイア・クァルテット。
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プログラムは
1曲目が、クァルテット・エクセルシオがドヴォルザークの弦楽四重奏曲第12番ヘ長調Op.96「アメリカ」。
2曲目が、タレイア・クァルテットによるヤナーチェクの弦楽四重奏曲第2番「ないしょの手紙」。
休憩後に、合同演奏となるニルス・ガーデ(ゲーゼ)の弦楽八重奏曲ヘ長調Op.17
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クァルテット・エクセルシオを生で初めて聴く曲が、同じくライブでは初めて聴くドヴォルザーク(1841~1904)の「アメリカ」だったので、とても楽しい思いをした。
唯一男性のチェリスト、大友肇さんの技術は素晴らしく、アンサンブルとしても、低弦という意味だけでなく、キャラ的にも、この四重奏団を支えている印象を受けた。
ヴィオラの吉田有紀子さんの音色も素敵。
ファースト・ヴァイオリンの西野ゆかさんと、昨年加入されたセカンド・ヴァイオリンの北見春菜さんはバランス良いアンサンブルで、北見さんが既に団に馴染まれているのが初聴きでも判った。
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ヤナーチェク(1854~1928)の「ないしょの手紙」は初めて聴いたが、とても面白かった。各楽章に特殊奏法による変わった音を交えていて、興味深く聴いた。とても気に入った。
プログラムの解説を読むと、なんと、ヤナーチェクは、70歳のとき、32歳の人妻と恋愛関係にあったそうだ。600通以上のラブレターも残っているという。モラルの是非はともかく、「たいしたもんだ」し、したがって、晩年のヤナーチェクの作品には、作曲のきっかけや、題材、内容等で、その「恋人」に関係したり、因む作品が少なからず有るという。なるほど、それで「ないしょの手紙」ね。どうりで、エキセントリックな音や曲想が頻出したわけだ(笑)。
タレイア・クァルテットも初めて聴いたが、若いメンバーなだけに、溌溂感と積極さを感じたし、ファースト・ヴァイオリンの山田香子さんを中心によくまとまった団だと思う。これからが楽しみ。
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ニルス・ガーデ(ゲーゼ)(1817~1890)は、デンマークの作曲家だが、年代もドヴォルザークやヤナーチェクより前の人で、この作品は1848年の作品ということもあってか、保守的な、というか、平凡な内容と言わざるを得ない曲。せっかく八重奏という構成をとっているのだから、もっと作品に工夫が欲しい。刺激的なヤナーチェクを聴いた後(休憩は挟んだが)だけに、その非凡さと凡庸さの差が際立ってしまった。
なお、演奏の構成は、タレイア・クァルテットがそれぞれのパートの1番(表)を弾くかたちで配置して演奏された。

https://www.triton-arts.net/ja/concert/2020/09/25/3210/

2020年9月21日 (月)

BCJによるバッハ ミサ曲ロ短調

バッハ・コレギウム・ジャパン(以下「BCJ」)によるバッハのミサ曲ロ短調BWV 232のコンサートを9月21日午後、所沢市民文化センター ミューズのアークホールで聴いた。
BCJは何度も拝聴しているが、今の社会状況では、オーケストラや歌手のリサイタル等は再開されている中、今、一番厳しい状況にあるのが合唱だ。私が活動している団も含めて、アマチュアの合唱団はどの団も2月あるいは3月以降、練習中止期間が長く続いていたが~練習場の確保自体が困難。貸してくれない施設が多い~ようやく団によっては、少人数で少しずつ、無理をせず練習を再開し始めている、という状況だ。
プロである東京混声合唱団と、このBCJは、工夫しながら、最近、練習だけでなく、コンサート活動を再開されたのは喜びに堪えない。前置きはここまで。
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BCJは少数精鋭団体で、この日の合唱は全員で18名。管弦楽もオルガンとチェンバロを含めて25名。これに後述する招聘歌手2名と指揮者、という構成メンバーによる演奏会。
今回の指揮者は創設者の鈴木雅明さんのご子息でもある鈴木優人さん。
歌手のソリストは、BCJの中からソプラノⅠとして澤江衣里さん、Ⅱとして松井亜希さん、アルトの布施奈緒子さんが歌われた他、来演者としてテノールの西村 悟さんとバスの加耒 徹さんが歌われた。もっとも、加耒さんは何度もBCJで歌われているので、常連メンバーみたいなもの、と言えるだろう。
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合唱団員は入場の際、マスク着用で、各人、立ち位置に着いたら外す、ということをされていた。楽屋を含めて、ちゃんと着用していますよ、ということのアピールだろうが、自主的判断なのか、ホールの要請かは知らないが、不要だと思う。外して入場でOKだ。文句を言う客などいない。
<ステージ配置について>
前述の「工夫」の大きな点は、オケがステージ最後列に横一列の広がり(もちろん間隔を取って)、合唱は指揮者とオケの間に入り、そこで二列になって、という配置。合唱各人の横空間はもちろん、一列目と二列目も大きく間隔を空けての立ち位置だった。
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<演奏スタイル>
少数ゆえ、クレンペラーやリヒターのような、ゆったり感のテンポや重厚感とは全く異なるが、かといって、ピリオド奏法全開の軽く速く流していく、ということでもない。
基本的には落ち着いたテンポにより、合唱もオケも無理のない自然の流れを生かしたテンポとアプローチ、と言える。以下、曲順に~全部ではないが~気づいた点を記しておきたい。
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<各曲>
第1部 ミサ
第2曲のChristeでのソプラノ澤江衣里さんと松井亜希さんによるデュオは、大ホールゆえ、声量的に大変だったと思うし~しかも、開演前のアナウンスで、ドアの一部を少し開ける旨あったように、密閉でのホールほど響が集まっていない感じがした~そうした中、それでも、チェンバロの音にフィットするかのような清々しくも芯のあるデュオだった。
第3曲のKyrieがとても充実していた。
第6曲のLaudamus teは、松井さんのソロ。比較的低音域で書かれた楽譜だし、シンコペーションの多い難しい曲だが、アーティキュレーションを工夫されて、よく歌われていた。
第7曲のGratias agimus tibiは、第1部での合唱では最も充実して聴こえた。この曲と同じパターン(流れ)の曲として、最終曲27のDona nobis pacemで再度登場した際も、とても良かった。
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第8曲のテナーとソプラノソロによるデュオ。ソプラノの澤江さんは何度も拝聴し、個人的にも親しくさせていただいて、その清らかな声は十分承知しているし、2曲目と同じく素敵だったが、今回の注目はテナーの西村 悟さんだ。これまで、オペラアリアや、メンデルスゾーンの「讃歌」など、ドラマティックな曲は何度も拝聴し、大好きなテナーだが、西村さんのバッハを聴くのは初めてで、意外さを越えて、とても素晴らしい歌唱に驚いた。西村さんについては、第24曲ソロで再度言及したい。この曲でのフルートはとても良かった。
第10曲の、素敵なオーボエ・ダモーレに乗ってQui sedesを歌われた布施奈緒子さんは格調高く、とても充実した歌唱をされた。感動した人は多かっただろうと想像できる。
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第11曲。この日、一番問題を感じたのはこの曲。
まず、コルノ・ダ・カッチャ、という、旧式ホルンでの演奏は難しそうで、音程が不安定な場面が散見された。モダン楽器でやってもよかったのではないか、と思った。
次に、歌のソロは「バス」と表示されている。多くの録音では、バリトンとバスの2人を起用し、比較的、高い音域で書かれた第19曲をバリトンが歌い、この第11曲はバスが歌う、としている演奏が多い。
例えば、クレンペラー盤では、第11曲はバスのフランツ・クラスが歌い、第19曲はバリトンのヘルマン・プライが歌っている。
今回は2曲とも加耒 徹さんが歌われたのだが、この第11曲は低音域に音符が相当在るので、加耒さんには少々荷が重たかったかなあ、という印象は拭えなかった。
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第2部 ニケーア信条(クレド)
冒頭の第13曲、続く第14曲とも合唱はとても良かった。美しいトーンが印象的。
第15曲の松井さんと布施さんによるデュオは、2人の違うトーンが絶妙に交差しながらの、とても魅力的な歌唱だった。
第17曲では、ゆったりしたテンポの中での「Cru」の部分のアクセント(子音強調)が印象的。
第18曲での合唱は溌溂として良かったが、74小節目から84小節までのバスパートソロは、加耒さんが入るのではなく、合唱のバスパートが歌って欲しかった。合唱の実力がモロに出る部分なので。
第19曲のバスソロは、第11曲で書いたとおり、バリトン音域で書かれているので、加耒さんのトーンと音域がよくハマって、とても素敵だった。
第20曲から21曲の合唱はとても素晴らしかった。
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第3部のサンクトスと第4部のオザンナ他での合唱はいずれも充実していた。
ソロでは、まず、第24曲でのテナーソロ。第8曲で記載のとおり、西村さんが本当に素晴らしく、この日の大きな収穫は西村さんのバッハが聴けたこと。いつか、西村さんが歌う「マタイ」のエヴァンゲリストを聴いてみたいものだ、と思った。
第26曲のアルトソロの曲は、曲が素晴らしい。「マタイ」にも素晴らしいアルトのソロがあるが、あの曲とこの第24曲Agnus Deiは、バッハのソロ曲の中でも極めて印象的で、感動的な曲だ。布施さんはじっくりと丁寧に歌い、聴衆を魅了した。
最終第27曲Dona nobis pacemは、第7曲で書いたとおり、とても充実した合唱で、終曲を締めくくるに相応しい演奏だった。
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最後になってしまったが、もちろん素晴らしかったのは合唱だけではなく、ヴァイオリン・ソロ、フルート(フラウト・トラヴェルソ)、オーボエ・ダモーレのソロやデュオ、オルガンとチェンバロを含めて、オケの皆さんはとても良かった。大きな拍手を送りたい。
そして、その全体を束ねて、快活で温かく爽やかな演奏を引き出した指揮者の鈴木優人さんに大きな拍手を送りたい。

http://www.muse-tokorozawa.or.jp/event/detail/20200921/

2020年9月13日 (日)

大坂なおみさん~人種差別への抗議を続けながらのアメリカでの優勝

スポーツの舞台での政治的な行動に、賛否の声があるのも確かの中、それでも、なおみさんは言う。
「選手は発言をする度にスポンサーを失うことを恐れています。私にとってはそれは本当にそう。スポンサーがほとんど日本なので。彼らは私が何について話しているかわからず、動揺していたかもしれない。でも何が正しいのか、何が重要なのか話さなければならない時期がくる。テニスは大多数が白人のスポーツ。自分が代表者のように感じている。負けてはいけないように感じる時もある。でもそれはとても大きな誇りの源」。
「私のマスクをみて話し合いが起きて欲しい。色んな人がこのことを話題にしてくれたら」として、今大会、大坂選手が着用した全7枚のマスクにプリントされた名前と状況
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◇1回戦~ブレオナ・テーラーさん
今年3月、ケンタッキー州で薬物事件捜査の警官に自宅に踏み込まれて射殺された黒人女性。事件とは無関係とみられている。
◇2回戦~エリジャ・マクレーンさん
昨年8月、コロラド州で警官に押さえつけられ、その後に病院で亡くなった黒人男性。
◇3回戦~アマード・アーベリーさん
今年2月にジョージア州でジョギング中、白人男性にトラックで追い掛け回されて射殺された黒人男性。
◇4回戦~トレイボン・マーティンさん
2012年2月にフロリダ州で自警団員に射殺された当時17歳の黒人男性。「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大事だ)」運動の始まりに。
◇準々決勝~ジョージ・フロイドさん
今年5月にミネソタ州で警官に首を地面に押さえつけられて死亡した黒人男性。現在における抗議運動拡大のきっかけとなった。
◇準決勝~フィランド・キャスティルさん
2016年に警官に車の停止を命じられた後、取り調べ中に射殺された黒人男性。この試合の勝利で、マスクをすべて披露できることに。
◇決勝~タミル・ライスさん
2014年に射殺された当時12歳の黒人の少年。模造銃を手に歩いていたところ、急停止してきたパトカーから出てきた警官に打たれた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1e0d71f0f36cbf5036f6b83d5c736eb1639b9a32

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大坂なおみ選手も棄権 黒人銃撃で米スポーツ界に抗議広がる
https://news.yahoo.co.jp/articles/3324cd277cee5a5072a54c4feea358950c0f0295

テニス 全米OP前哨戦が1日延期。黒人銃撃への抗議で
「私はアスリートになる前は黒人女性です。また、黒人女性としては、テニスをしているのを見るよりも、すぐに気をつけなければならない重要な事柄があるように感じます」
https://news.yahoo.co.jp/articles/7594a49c6178e0d9c01fe666c74bee64a24780ea

大坂なおみが準決勝棄権、黒人銃撃に抗議
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6369403

NBAと大リーグ、選手が試合ボイコット-警察の黒人男性銃撃に抗議
https://news.yahoo.co.jp/articles/57122d2e75ea8cb73a6aa174e5590e25e42e9f3d

2020年9月11日 (金)

小川里美さん&与那城 敬さんデュオコンサート

9月11日夜、白寿ホールにてソプラノの小川里美さんとバリトンの与那城 敬さんによる「いま、歌いたい歌」と題されたデュオコンサートを聴いた。ピアノは与那城さんのCDアルバムでも弾いている巨瀬励起(こせ れいき)さん。与那城さんが2月下旬以来、小川さんと巨瀬さんも3月以来の久々のステージとのことで、アーティストの皆さんが置かれた状況をあらためて来場者は感じ取る次第。
演奏曲と歌われた歌手は以下のとおりで、それも素晴らしかったが、後半2曲目の「椿姫」のジェルモンとヴィオレッタの二重唱 “天使のように清らかな娘が”は圧巻だった。
曲で面白かったのは、團伊玖磨さんの「舟歌(片戀)」で、ピアノパートも含めて作曲の達人たる内容を提示していたし、小川さんの歌唱も素晴らしかった。中田喜直さんの「サルビア」も情熱的な曲で素晴らしい。
与那城さんが歌われたR・シュトラウスの「献呈」は曲といい、歌唱といい、本当に見事で感動した。
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1.シューマン「献呈」  詩=リュッケルト 歌=小川さん
2.グリーグ 「君を愛す」詩=アンデルセン 歌=与那城さん
3.アルマ・マーラー「森の喜び」詩=デーメル 歌=小川さん
4.R・シュトラウス「献呈」詩=ギルム 歌=与那城さん
5.中田喜直「夏の思い出」詩=江間章子 歌=与那城さん
6.山田耕筰「かやの木山の」詩=北原白秋 歌=与那城さん
7.高田三郎「くちなし」 詩=高野喜久雄 歌=小川さん
8.團伊玖磨「舟歌(片戀)」 詩=北原白秋 歌=小川さん
9.團伊玖磨「ひぐらし」 詩=北山冬一郎 歌=与那城さん
10. 中田喜直「サルビア」 詩=堀内幸枝  歌=小川さん
 (休憩)
11. ヴェルディ 「椿姫」より “プロヴァンスの陸と海”
    歌=与那城さん
12. ヴェルディ 「椿姫」より
二重唱 “天使のように清らかな娘が”
13. 巨瀬さんのピアノソロで
マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲
14. ヴェルディ 「イル・トロヴァトーレ」より
   「穏やかな夜」 歌=小川さん
15. ヴェルディ 「イル・トロヴァトーレ」より
二重唱 “私の願いを聞いてください”
アンコール
メリー・ウィドウ「唇は語らずとも」

ヘンリー・パーセルプロジェクト~様々なアンセム

9月11日午後、新大久保の日本福音ルーテル東京教会で、「PURCELL PROJECT 2020 様々なアンセム~パーセルの音楽と共に歩む~」と題されたコンサートを聴いた。以前からこのプロジェクトのことは知っていたが、私が拝聴するのは初めて。15時と19時の二部制で、私が聴いたのは15時開始のもの。
パーセル・プロジェクトは2009年秋、ヘンリー・パーセル(1659~1695)の生誕350年を機に、その作品演奏を目的として、国内外の主要な古楽団体に参加するプロの歌手と器楽奏者たちが集結し、発足。以来、「声楽芸術の結晶」と言われるパーセルの声楽作品を、定期的に公演して来ている。
2019年は生誕360年、アンサンブル発足から10周年を記念して、歌劇「アーサー王」が再演された。
なお、「アンセム」とは楽曲形態を言い、「フル・アンセム」と「ヴァース・アンセム」に分かれ、パーセルは後者である、合唱とオルガン伴奏を伴うソロ部分が交互に現れるものが多い。
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日本福音ルーテル東京教会自体初めてだったが、比較的広い教会の中での、プロ歌手たちによるユニットの歌声は清らかで心洗われる思いがした。出演者と演奏曲は以下のとおり。
(出演者)
ソプラノ:澤江衣里、藤崎美苗
アルト:布施奈緒子、青木洋也(カウンターテナー)
テノール:石川洋人、中嶋克彦
バス:藤井大輔、加耒 徹
オルガン:山縣万里
(演奏曲)
1.O God, thou art my God Z.35 おお神よ、あなたは私の神です
2.O God, the King of Glory Z.34 栄光の王なる神よ
3.Man that is born of a woman Z.27 人は女から生まれ
4.O Lord our Governor, Z.37 主よ、私たちの統治者よ
(休憩)
5.Beati omnes qui timent dominum Z.131
幸なるかな、主を畏れるもの全ては
6.Jehova, quam multi sunt hostes mei Z.135
エホバよ、私の敵はなんと多いことか
7.Thy righteousness, o God Z.59 神よ、あなたの義はとても高い
8.Lord, who can tell how oft he offendeth? Z.26
主よ、どれほどの罪を犯したか、誰が答えられましょうか
9.I will sing unto the Lord as long as I live, Z.22
私は主に向かって歌いましょう
アンコール
I was glad when they said unto me, o Lord
 私は嬉しかった、彼らがこう私に語りかけたとき

2020年9月 8日 (火)

小川典子さんのラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番と第3番

オーワイン・アーウェル・ヒューズ指揮 マルメ交響楽団との共演で1997年5月録音なので、別途ご紹介したチャイコフスキーとプロコフィエフ3番の協奏曲初録音から8年が経過している。粒立ちの良い流れという点は変わらないが、でも違う。その1つ1つの音に、しっとりとした潤いがいつも在る。
もちろん曲が違う、という決定的な違いはあるし、年齢の違いということもあるかもしれないが、それだけでは説明できないように想える。大きな質感の違い。単に成長という言葉では言いくくれない変化を感じる。
2曲とも、各楽章を含めて、全体として、ゆったりとしたテンポを設定した演奏。この間、武満徹を含めてレパートリーが多彩になったことも関係しているだろう。2番の第2楽章など、感涙さえ覚える。もちろん、2番と3番のそれぞれの終楽章における技術的冴えは申し分ない。
この2曲の演奏で強く感じることは、小川さんが「憧れの人に出会えた」という喜びを感じながら演奏しているに違いない、ということだ。聴く側も、その演奏を抱きしめたいと思うほどの愛おしさを感じさせる感動的な演奏なのだ。
言い換えれば、小川さんの「広大なロシアの大地とラフマニノフに対する憧れからのラブレター」であり、小川さんの曲に対する憧れがそのまま演奏に表れている、と思う。
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小川さんは、2番と3番に関する逸話をライナーノーツで紹介している。
2番に関しては、8歳のとき、両親に、「これほどまでに難しい曲を人間が手を使って弾くのは無理、きっと何がしかの機械が手伝ってくれているのだと思う」と「力説した」、という微笑ましい逸話が紹介されている。「まさか、自分の手を使って、本当にその曲を弾く日が来るとは夢にも想像せずに」、と続けながら。
3番に関しては、後年、ジュリアード音楽院で学んでいるとき、「優秀なスター学生たちが3番を大変な迫力で勉強していた。友人が自慢気に開いたその楽譜は、目も眩むような複雑さ。この曲は、私は一生鑑賞する側でいよう、とその時、心に決めたつもりだった。(中略)その後、数々の名演に触れ、ますます憧れるようになり、どうしても自分で弾かずにはいられなくなった」。
そして、「今回この2曲を録音する機会に恵まれたことに、私は今、心から感謝している」。
こうした長年の憧れと感謝に溢れた素晴らしい演奏である。
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2020年9月 1日 (火)

田部京子さんベートーヴェンの協奏曲2曲を弾く

ただし、1曲は何番というのではなく、ベートーヴェン自身がヴァイオリン協奏曲を自分でピアノ演奏用に編曲した曲だ。
もう1曲は「皇帝」。
9月1日夜、サントリーホールで、飯森範親指揮、東京交響団の共演による2曲だけの演奏会を聴いた。本来は今年5月2日(土)の午後に予定されていたコンサートの延期公演。
オケの弦はマスクをしていたが、指揮者と田部さんはさすがにもうナシ。当然だ。なお、6月に聴いた東響の再開後初ステージは、コントラバス3人に象徴される小編成での公演だったが、この日はコントラバスが5人で、他の弦は第1ヴァイオリンが12人(6プルト)、第2ヴァイオリンが10人(5プルト)、ヴィオラが8人(4プルト)、チェロが6人(3プルト)、と、だいぶ普通の編成に近くなっていた。
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1曲目=ピアノ協奏曲ニ長調
ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は、ライブと録音とで、私は多分30人以上のヴァイオリニストの演奏で楽しんで来ているが、ベートーヴェン自身がピアノ協奏曲として編曲しての演奏は、比較的最近、ゲルハルト・オピッツで聴いたくらいだ。以前はバレンボイムなど、ごく少数の人が録音していたようなので、聴いたことがある人も一定数はいるだろうけれど。
ベートーヴェンにこの編曲を依頼したムツィオ・クレメンティ(1752~1832)は、14歳以降をイギリスで過ごし、作曲、ピアニスト、指揮者、教育者、楽譜出版者、ピアノ製作者など、幅広く活動した人とのこと。1807年に完成している。
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右手がヴァイオリンの旋律とほぼ同じで、左手でアルペジオだったり、ユニゾンだったり等々、工夫(飾り)がなされている、と言えば、ほぼ想像していただけると思う。もちろん、右手とヴァイオリンの旋律は全く同じではなく、例えば、原曲では3連符なのに、ピアノ編曲では16分音符 だったり、ということは少なからず散在する。
思いのほか違和感はなく、ベートーヴェンゆえ、よくできているし、原曲に無い、独自性を加えてもいる。その顕著な例が第1楽章のカデンツァで、ここでは、ティンパニとのデュオ的な掛け合いがなされるなど、面白い部分だ。第2楽章から第3楽章に移行する部分(繋ぎ)もそうだし、様々な工夫がなされ、決して「原曲をピアノ(の右手)に置き換えて弾いているに過ぎない、という曲ではない」。
ユニークで面白い曲を田部さんは見事に弾いた。
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休憩後の「皇帝」
前半でのD dur=ニ長調のサウンドがまだ頭の中というか耳の中に残っている段階での、Es dur=変ホ長調の和音がステージに拡がる。そうそう、半音高い「だけ」なのに、なんとう「違い」だろう。調性と曲の関係性という今更ながらの強い要因を思う。
第1楽章では、田部さんは曲想の場面では割と細かくテンポを変えていたのが印象的だった。マルティン・ジークハルト指揮、リンツ・ブルックナー管弦楽団との共演で2000年4月に録音した演奏では、とりわけ第2楽章が名演だったが、この日も第2楽章は、ゆったりと設定されたテンポの中で、思索的にして端正な、弱音を大事にした美しい演奏だった。
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だがこの日、この曲で一番感動したのは第3楽章だった。録音では割とガッシリと慌てず丁寧に几帳面に弾いているのだが、この日の田部さんは「攻め」の第3楽章だった。テンポも録音よりずっと速く、一気呵成に近いくらい、アグレッシブな演奏で素晴らしかった。
格調高く端正な田部さんも素敵だが、「攻める」田部さん、アグレッシブな田部さんも実に素晴らしい。
なお、この第2楽章から第3楽章に移行する部分は、ホルン奏者にとっては「地獄」で、2人でとはいえ、長いロングトーンが必要になる部分。東響のホルニストは頑張っていたが、ピアノが第3楽章のテーマを弾く直前に少しアクセントが付いてしまったのは惜しかった。
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数回のカーテンコールの後、田部さんはアンコールを1曲弾かれた。田部さんはアンコールを選曲する際、そのコンサートに何かしらの関連性を考えて選ぶのが田部さんらしくて素晴らしい。例えば、6月にベートーヴェンの第3番を弾いた際は、休憩後のオケによるコンサート最終曲がメンデルスゾーンの「スコットランド」だったことを考えて、メンデルスゾーンの無言歌集第2集から「ベネツィアの小舟」を弾かれたのだった。
この日、「皇帝」の後だと何を選ぶのだろうか、と思ったら、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第18番 変ホ長調の第3楽章「メヌエット」。そう、「皇帝」とEs dur 繋がりを選んだわけだ。しかも、第18番はリズム等がユニークな曲で、「メヌエット」も強弱等に工夫がさされているので、ベートーヴェンの中ではあまり弾かれないながら、聴くと「面白い」と思う曲なので、「ナイスな選曲」で、サスガ田部さんだ。

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